第24話夢見る少女でいられない ! 前編

【ガンモside】



 迷子の子猫達の件で、オコゲが落ち込んで居たのでウッシーに事情を聞いた。

 何でも最後に残って居たオコゲの息子『ボンド』がおっちゃんの店に来た客に貰われて行ったそうだ。

 ウッシーがオコゲから聞き出した情報によると、ボンドは友達 兼 婿むこ候補として迎えられるらしい。

 客同士の話から、その事を聞き思わず頭を下げてお願いしたそうだ。

 そりゃそうだろう、こんな厚待遇なんて なかなか無いからな !


 迷子の子猫達も直ぐ飼い主が引き取りに来たから問題には成らなかったけど子猫達を見るオコゲの目は悲しそうだった。


『猫カフェ』も『江戸さん家』も知ってはいるけど………

 にゃん太郎親分の話によると『猫カフェ』は鉄壁ガードで入り込む余地は無いそうだ。

 そうなると『江戸さん家』になるんだけど、今アソコは コロッケが入り浸っているから あまり行きたくないんだよなぁ~


「はぁ~、あの子達は元気かなぁ~………」


 おこげが何度目かの溜息ためいきをした。

 ………しょうがねえなぁ~ !


「おーい、オコゲ !良かったら、おいらと一緒に江戸さん家に行かないかぁ~ ? おいら、タビに逢いに行くから一緒に行こうぜ ! 」


「……そうね、ここで思い悩んでいても仕方がないから一緒に行くわ !

 ありがとう、ガンモ 」


「よせやい、 おいらがタビに逢いたいから誘っただけで、ボンドの件はついでだから気にしないでくれよ ! 」


「………そう、なら 早く案内してよね ! 私は、こう見えてせっかちなのよ」


「そうこなくっちゃぁな ! おいらが道案内するから追いて来てくれよ !

 少し遠いけど途中から田んぼや畑ばかりの農道に成るから車には気をつけてくれよ ! 人通りが少ないから飛ばしている車が多いからな ! 」


 そうして、おいら達は ボンドやタビの居る江戸さん家に向かった。



 ───その様子をにゃん太郎親分とウッシーが見て居たことには気がつかなかった───



 ♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



「 ふぅ~、本当に遠いわね。 だけど周りが田んぼや畑ばかりだから他所の猫の縄張りを通らなくて助かるわ」


「良い運動にはなるだろう。 最近は、おっちゃんの処でゴロゴロしてばかりいたからなぁ~ 『渡り猫』の時も ここまで歩いた事は無いだろう ! 」


「……ねえ、質問なんだけど ガンモは結構 鍛えられた身体をしているけど、

 どうしてコロッケはあんなにデブなのよ ? コロッケだってガンモと同じくらい歩き回っているんでしょう !」


「あぁ、アイツの家は『お肉屋』なのは知っているか ? アイツは子猫の時から唐揚げやメンチカツ、コロッケを貰って食べてばかりいたからコロコロに太ったと弥七から聞いたぞ ! あんなんでも子猫の頃は可愛らしかったらしく客や父ちゃん達に良く食べさせて貰っていたみたいだから、アイツの体型は筋金入りだな 」


 何時もは目的地に向かって ひたすら歩くだけなんだが、オコゲとおしゃべりをしているせいか 直ぐに到着した。

 江戸さん家の庭に廻ると、既にコロッケが来ていた………けど、何時もと様子が違う !


 タビとボンドがコロッケにじゃれているが、楽しんでいる子猫達と違ってコロッケの目はうつろで『ボーット』している。

 何をほうけているのやら……

 楽しそうに遊んでいるボンドを見てオコゲも安心したようだ。

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