第23話迷子の迷子の子猫ちゃん ③

【にゃん太郎side】



どうにかこうにか、シャンプーやリンスのご機嫌を取りながら ようやく目的地である おっちゃんの店にまでたどり着いた。


店の裏庭に行くと、ウッシーとオコゲが何やら神妙に話していた。

………う~ん、二匹共なんだか元気がないなぁ~


「ねえ ねえ プル、もうお腹がペコペコだよぉ~ !

本当にココで美味しい御飯が貰えるの ?」


「そうだよ ! アタイらをココまで歩かせたんだから、嘘を言っていたなら許さないからね ……………『ぐぅぅぅ~』腹が減りすぎて力がはいらないよぉ」


「……………しょうがねぇなぁ~、ちょっくら おっちゃんに頼むから少し待っていてくれよ。

ニャァーオ!おっちゃん!ニャァーオ!おっちゃん!ニャァーオ!出てきておくれよ! ニャァーオ!飯プリーズ!



ガラ ガラ ガラ ガラ ガラ ガラ


「 あら あら、にゃん太郎じゃないの ! お腹が空いたの ?

いたさーん、にゃん太郎が来たから何かエサを持って来てあげて !

………それと、にゃん太郎が子猫を二匹連れて来たみたいだから、多めにお願いねぇー !

…………にゃん太郎の子供 ? それともお嫁さん ? どちらにしても にゃん太郎もすみにはおけないわね !」


この店の女将おかみさんが出てきて、おっちゃんを呼んでくれた事は ありがたいが、ひどい誤解をしているぞ !


ニャァーオ!女将さーん!ニャァーオ!誤解だぁ! ニャァーオ誤解だよぉ!


ニャァーゴ!もー!ニャァーゴ!もー!ニャァーゴ!もー!

ニャァーニャァーニャァーニャァーオンコントなら他所でやりなさいよ、私がオコゲを慰めているのに台無しよぉ !」


「 あら あら あら ウッシーもお腹が空いているのね。 それなら特別に『チュ◌ル』をウッシーとオコゲにあげるわね」


ちょっと待ってくれ ! ………俺と雌猫女達との『差』がありすぎるんじゃないか ! 差別だ、差別だぞ !


ニャァニャァニャァニャァニャァニャァおばちゃん『チュー◇』なら、プルにもちょうだい !」


ウニャァウニャァニャァニャァニャアタイも アタイも 『◯ュール』が欲しいよ、アタイにも頂戴 !」


『チュ◌ル』に反応して、プルとキャラが女将の前に飛び出して お強請ねだりを始めた。


「 あら、可愛い子猫ちゃん達ねぇ~ 。 アメショウアメリカンショートヘアかしら ? 綺麗きれいな毛並みもしているし首輪もしているから飼い猫かしら ? 」


ガチャリ


裏口のドアが開き、ようやく おっちゃんがエサを持って出てきてくれた。


「 今日はにぎやかだなぁ~、…………にゃん太郎、ボス猫だからって あまり子供をつくりす過ぎるなよ ! 流石に野良猫が増え過ぎると皆が困るからな ! 」


………おっちゃんまで誤解をしていたが、もう反論するのも疲れたよ。



♟♞♝♜♛♚♙♘♗♖♕♔



おっちゃんから飯を貰い、ようやくプルとキャラが食べ終えるのを横目に俺はウッシーと情報交換をしていた。


ウッシーの話だとオコゲの子猫こどもの『ボンド』が店に来た客に貰われて行ったらしい。

流石に子猫達が、いっぺんに居なくなったオコゲが落ち込んでいたので、ウッシーがなぐさめていたらしい。

…………仕方がないよな ! 野良猫の生存競争は激しいからなぁ~

この辺りは『猫好き』が多いのとネズミ避けに野良猫の存在に文句を云う人間は少ないが他所では、こうはいかない。

優しい人に飼われたなら、その方が良いだろう。


一方、俺が保護したプル達の話をしたらウッシーがあわれみの目で俺を見ながら、


「 にゃん太郎親分も お節介好きよねぇ~、他所のボス猫は、そこまで面倒見は良く無いわよ 」


「 ………性分しょうぶんなんだから仕方がないだろう。 ホッとけないんだよ !」


そんな俺達の会話を余所よそにプル達は、おっちゃんや女将に甘えていた。


「 女将さん ! この子猫達、『迷子札まいごふだ』をしていますよ ! …………どうやら、例の『猫カフェ』の子猫みたいですね………この子猫は『キャラ』と云う名前みたいですよ ! 」


「 どれどれ………こっちの子猫は『プル』ちゃんね ! 『猫カフェ』のオーナーさんも探していると思うから、私から連絡しておくわ。

それまで子猫ちゃん達の面倒を見ていてね 」


そう言いながら女将さんが店の中に入って行った。

おそらくプル達の家に連絡をしているのだろう。


迷子の子猫ちゃんの問題が解決しそうで良かったよ !



俺の名前は、にゃん太郎。 この辺の仲間を守るボス猫だ !




※ 作者より


今回のお話は『大江戸くんの恋物語』の 241話 『 迷探偵 と へっぽこ探偵団 ⑦』とコラボしています。

よろしければ、そちらもお読みくださいね。

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