第4話 振り向けば奴がいる !


【 ガンモside 】


また、フラれてしまった !


おいらが、落ち込んで歩いていると


「 なんだ、ガンモ ! またフラれたのか。

これで何回目だよ、もう50回は越えたのか ? 」


茂手内もてないさんの『コロッケ』が、おいらを見て笑っていやがる。


「 まだ、35回目だよ ! そういうコロッケこそ、この前に大阪さんの『アンとダイアナ』にフラれたのを知っているんだぞ !

おまえコロッケこそ、50回はフラれたんじゃないか ?」



五月蝿うるさいなぁ~、 まだ俺は34回目だよ !

お前ガンモと一緒にするなよ ! 」



そう、このコロッケこそがオイラのライバルなんだ !

コイツにだけは、絶対に負けたく無い !



♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞


それから、しばらく立った時にまたしてもコロッケに会った。

オイラは知っている ! 奴がフラれた事を情報通の喫茶店の看板猫である『 弥七やしち』から聞いたのだから間違いない !

情報料金代わりにオイラの『焼き鳥ごはん』は痛かったけど奴には負けられないから仕方がないんだよな。



「 やい やい やい オイラは知っているんだぜ !

お前コロッケが駄菓子屋の『キャンディ』と お茶屋さんの『パティ』とダンス教室の『イライザ』にフラれた事をな !

これで 37回もフラれたんだから、オイラの勝ちだよな !」


そうしたら、コロッケが反撃してきやがった !


「 ガンモこそ、俺が知らないとでも思っているのか !

お前ガンモも、京都さんの『バジル』と『タイム』にフラれた事を知っているんだぜ !

情報屋の『弥七』から聞いたんだから間違いは無いはずだよな ! 」



…………弥七の奴、コロッケにも情報を売っていたのか !

猫の風上にも置けない奴だよな !



オイラとコロッケが言い争いをしていた時に、にゃん太郎親分が現れた。


「 メンマから聞いて急いで来てみれば、何を不毛ふもうな争いをしているんだよ ! せっかくのデートだったのによぉ !」


そこにはリア充のにゃん太郎親分が花屋のカスミちゃん と たこ焼き屋のマユキちゃんをハベラせていた。


「 マユキちゃん、 こういうのって何て言うのかしら ? 」


「 カスミちゃん、『 ドングリの背比べ』と云う人間のことわざがあるわよ 」


親分の彼女達の言葉がキツいのは、デートの邪魔をしたからなのか ?

別に、オイラは嫌われてないよね !

悪いのはコロッケで、オイラは悪く無いよね。


「 おい おい お前達カスミとマユキ、 ガンモもコロッケも『 いい奴』なんだから許してやってくれよ。

デートなら、また一緒にするからさ 」


そんな男前な発言をする親分をカスミちゃん や マユキちゃん が毛繕けづくろいし始めた。


まっ まぶしい !

これが、モテるおとこだと云うのか !


オイラもコロッケもしばし見惚れていたが、親分を見て思い出した !


そうだ ! おっちゃんのところに『 ウッシー』が居るじゃないか !

オイラが駆け出すと同じ事を考えたのか、コロッケまで追ってきた。


おっちゃんの勤めている店の縁側で昼寝をしている ウッシーを見つけたオイラはコロッケに先駆けてプロポーズをした。


「 オイラの彼女に成って頂戴な ! 少々くたびれているのは我慢するからさ」


「 俺の方が良い男だぜ ! オバサンでも我慢してやるから俺と付き合ってくれよ ! 」


オイラ達のプロポーズを聞いた ウッシーが突然 怒りだした !


「 もー ! もー ! もー ! アンタ達なんて、こっちからお断りよ ! 本当にデリカシーが無いんだから、アンタ達は一生モテないわよーー ! 」



あまりの剣幕けんまくにオイラ達はにげだした。

お互いに 38回目をフラれてしまったけど、奴よりオイラの方が早く彼女を見つけてやるからな !


コロッケだけには負けない !

そう、オイラは誓ったのだ。




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