第3話 同情するなら…………

【 😸にゃん太郎side】


「ニャォ~ン ニャォ~ン ニャォ~ン ! ( おっちゃん、ご飯をちょうだいな !)」


俺が鳴いていると、おっちゃんが裏口から出てきた。


「 おっ ! にゃん太郎、御飯めしか ? ちょっと待っていろよ 」


そう言って中に引っ込んでいった。


今日の御飯めしは、何かなぁ~

ここの店のマグロの血合も旨いから好きなんだよなぁ~

たまに、骨からすくったトロを混ぜてくれるから、おっちゃんが好きなんだよな。

ハズレは、キャットフード(カリカリ)なんだが、食えないよりはましだから贅沢ぜいたくは言えないんだよな。


そんな事を考えていたら、ウッシーが小屋(発泡スチロール製)から顔を出した。


「 にゃん太郎親分、今日の御飯めしは『缶詰かんづめ』よ !

何でも、おっちゃんのウチの猫が食べないから持って来てくれたみたいよ 」


おっちゃんの家の猫と云うとアノ子猫か ?

元気なのか ?食欲が無いなら心配だなぁ~



「 親分は、おっちゃんの家の猫を知っているの ?

おっちゃんの話だと『 モ◌プチ』をやったら安い缶詰めを食べなく成ったから私達に持って来たらしいんだけど、どんだけ贅沢ぜいたくなのよぉー !

安い缶詰めと云うわりには、美味しいと思った私の立場は どうなるのよぉー !」


…………おっちゃんの事だから、かなり甘やかしているんだろうなぁ~


「 知っているなら教えてよ !

もしかして、血統書付きのお貴族さまだなんて言わないわよね ? 」


「 三毛猫だよ。 俺達と同じ野良猫出身だ ! だいぶ前に人間の子供達が店に連れて来たんだよ。 それで、この店の女将 おかみが おっちゃんにすすめて 飼うように成ったみたいだぞ 」


「………良く、そこまで知っているわね 」


「 見ていたからな………ちょうど日向ぼっこをしていたんだよ。

わざわざのぞいていた訳じゃないぞ 」


「 まあ、この店には『 ロン姉さん』が居るけど姉さんは、私達『猫』にも優しい『犬』だからねぇ~。

二匹は飼えないから、おっちゃんに薦めたのかねぇ~ 」


ウッシーと世間話をしていたら、おっちゃんが御飯を持って出てきた。


「 ほら御飯だぞ、にゃん太郎 !」


そこには、結構豪華な御飯があった。

クン クン と匂いをいだら


「 カツオだ ! 缶詰めじゃ無い 生のカツオだ ! だいぶ前に、おっちゃんから切れ端を貰ったアノ匂いだ 」


「 カツオの落とし と 血合を取って置いたからきざんできたぞ !

ウッシーの件やココアの件で活躍したから、御褒美ごほうびだぞ ! 」


俺が、久しぶりのカツオを食べようとしたら


「 ニャーオ ニャーオ ニャーオ ニャーア ニャーア ニャァーオ !(にゃん太郎親分だけズルいわ ! 私も食べたかったのにぃー ! ) 」

ウッシーが騒ぎ出した。


そして、俺が食べようとしたカツオをウッシーが食べようとした時、


「 こぉ~ら、駄目だぞ ! 」


と、言ってウッシーを後ろから抱き上げたのは


「 あっ、親方 ! スミマセン、ウッシーを止めてもらって」


この店の大将たいしょうだった。


おまえがウッシーが食べると子猫達も食べようとするから我慢しろよ ! 子猫達には『生魚なまさかな(刺身)』は、早いからな 」


見ると小屋ウッシーの部屋から子猫達が顔を出していた。

なるほど、そういうことか。


「 シャァァァーー!(この御飯めしは俺のだから、やらないぞ ! 」


子猫達に威嚇いかくしたら顔を引っ込めた。


「 ウニャ ニャ ニャ ニャ ニャ ニャァ ニャァーオ(同情するが、ウッシーの分まで俺が食べてやるから安心してくれ)」


ガツガツと俺が食べていると


「ニャ ニャ ニャ ニャ ニャォ~ン ニャォ~ン ニャァーオン!

( もー ! もー ! もー ! 同情するなら、一切れくらいカツオをよこしなさいよ !)」


もちろん、俺はきれいに完食した。


俺の名は、にゃん太郎『お残し』をしない主義のボス猫だ。



※作者より


不定期更新です。

お話が思いついたら書きますので、気長にお待ち頂くと嬉しいです。

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