ショートコント 二刀流

1976

二刀流

「見てよこれ」

     「うん、なんよ?」

「お題二刀流だって」

     「安直だなぁオイ。

      メジャーリーグの大谷選手かよ」

「まあそこから引っ張ってきてるよな、間違いない。

 でもま、ひとつやってみたら?」

     「えぇ!

      俺は忙しんだよ。そんな暇はない」

「いやー、星のつかない駄文書くよりマシじゃない?」

     「余計なお世話だッ、てかなんで知ってんだよ」

「まあまあ、こういうイベントに参加すれば読者や星増えるかもよ」

     「ホントかよ。

      だったら今の連載に二刀流キャラだせばそれで済むだろ。

      はい論破」

「ププッ」

     「なに笑ってんだよ、感じ悪いな」

「自信ないんでしょ?

 センスないんでしょ?

 逃げてるんでしょ?」

     「違うから。

      ……なんだよ、そんな目で見るなよ」

「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」

     「おまえ誰だよ!

      シン◯かよ。

      ったく、わかったよ、やればいいんだろ、やれば。

      で、なんだっけ?」

「お題は二刀流です」

     「二刀流かぁ、ロマンはたっぷりあるよな。

      むしろロマンしかない。

      女子ならツンデレっぽい感じ?

      それはそれとして、思いつくままに挙げてみるか。

      まあ基本は武士の刀だろ。

      武蔵とか二刀流か?」

「巌流島の武蔵対小次郎ね。

 五輪書も彼だよね」

     「西洋だと、レイピア&マンゴーシュ?」

「うん、まあそうだね。

 他には?」

     「あとはあれだな、イキリト、もとい、SAOのキリ○くんだな」

「そのネタは熱い風評被害だから不味いよ。

 桐◯谷和人くん迷惑してるから」

     「すみませんでした。

      って、俺誰に謝ってんだ?」

「まあまあ。

 で、そこからどう広げんの?」

     「えっ、いや、まあ……

      そんな急かすなよ、思いつかねーだろ。

      あー、いー、うー、えー」

「やっぱり無能だな。

 時間稼ぎにさえ、ちっともセンスがうかがえない」

     「う、うるせーよ。

      馬鹿にしやがって!

      じゃあこういうのはどうだ」

「お、待ってました。

 では、先生お願いします!」

     「おいッ!

      あの馬車みろ、スゲーぞ!」

「なになに、どしたの?」

     「馬のかわりに竜が引いてんだよ。

      二頭の竜が引いて、これぞまさしく二頭竜!」

「…………」

     「あれ、もしもーし。

      ダメ?」

「駄洒落かよ!

 武蔵とかキリ◯とかどこ行ったんだよ!」

     「あれはアレだよ、頭の体操? 準備運動?」

「ほぐれてねーしあったまってねーから。

     「そんな怒るなよ。

      傷つくわ、俺だって。

      だったらおまえが手本見せてみろよ」

「僕?」

     「そうだよ、その僕ちゃんだよ。

      馬鹿にするほどなんだから簡単にできんだろ、早く早く!」

「いや、フフフ」

     「なに笑ってんだよ、気持ち悪りーな」

「俺、すでにそうだから」

     「は?」

「存在が二刀流」

     「なに格好良い風で言ってんだよ。

      おまえ剣道とかやってねぇだろ。

      四番でピッチャーでもねぇし、ゴールキーパーでFK蹴ったりもしねーだろうが。

      ……あッ、もしかして!

      わかった、俺、わかったわ」

「え、マジで?

 本当の僕を理解しちゃった?」

     「フフン、まぁな。

      ズバリ言うぞ!

      掛け持ちバイトだ。

      どうだ、正解だろ?

      こんな簡単なの——」

「チッチッチッチッ!」

     「なんだよ、うぜーなその反応。

      じゃあ正解はなんなんだよ、とっとと教えろよ」

「今晩証明してみせるよ」

     「ハァ、今晩?」

「なぜならッ!

 僕は男も愛せる真の男女平等しゅぎッ」ゴフッ ← 殴られた音

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