シーン(10-2)

【サンタクロースからのラブレター(後編)】

レイチェルはジョルジョといっしょに帰る。家に帰る途中、いつもの落書きが消えて、別の落書きが書かれていることに気づく。


◯『ウエストサイドストリート』(朝・晴れ)


BGM レイチェルのテーマ(?)

SE 二人分の足音


ジョルジョ「朝ごはんまで買ってもらって申し訳ないです」

ジョルジョ「ありがとうございます」

レイチェル「いいよ。あたしも腹減ってたし」

レイチェル「それに、あの店のパン、すぐ売り切れちゃうから買えてよかったわ」

レイチェル「あ、一口ちょうだい。それ気になってたの」


レイチェルはジョルジョのサンドイッチを奪って、一口食べる


ジョルジョ「わ」

ジョルジョ「(照れて)わあああ!」

レイチェル「ごめん!」

レイチェル「もしかして、このパン気に入ってた?」

レイチェル「私の一口が大きかった? 美味しかったけど……」

レイチェル「それとも、人が食べたの食べるの嫌だった?」

レイチェル「だったら買い直してくる!」

ジョルジョ「いや、そういうんじゃなくって……」

ジョルジョ「だ、大丈夫です。大丈夫ですから」

レイチェル「そ、そう?」


二人はトンネルをくぐる

落書きの前を通りかかる


ジョルジョ「……あ(忘れてた)」

レイチェル「そうだ、あれ!」


二人が落書きを見る


レイチェル「あの壁の落書きさ、前は違うのだったよね?」

ジョルジョ「(そわそわしながら)……そうですね」

レイチェル「えっと、読んでみるね」

ジョルジョ「えっ、いや、大丈夫ですから!」


レイチェル

「メリークリスマス!

ホントの僕の名前はジョージじゃなくってジョルジョなんだ。

今日は良い日だったよ。

小さいころ、クリスマスの日に僕が眠るまで遊んでくれたお姉さんと話せたんだ。

サンタさんがくれた友だちだったんだろうけど、今は彼女が恋人になってくれないかな、なんて思ってる。

彼女、とっても素敵な人だよ。とっても彼女が好きなんだ。

大人になった彼女はサンタクロースじゃない。

けど、僕がサンタクロースだ。

大人になった僕は彼女に釣り合うかな?

今年のクリスマス、サンタさんが恋人をプレゼントしてくれたらいいな。

ジョルジョ

401番地 ウエストサイドストリート

クリスマスタウン」


レイチェル(そういえば、ジョージの名前って……)

レイチェル(今さら思い出した)

レイチェル(ジョルジョ、だ)

レイチェル(でも、目の前にいるジョルジョとは限らないし)

レイチェル(別人でしょ)

レイチェル(いやー……でも、顔、似てるような気がしてきたなーっ……)

レイチェル(本人かどうかわからんけど聞いてみるか!)


レイチェル「あのさ!」

ジョルジョ「はいっ!?」

レイチェル「君、可愛いものが好きなジョージ?」

レイチェル「小さい頃、あたしと会ったことがある?」

ジョルジョ「……はい、そうです」

ジョルジョ「僕はあの時からお姉さんのことが忘れられなくて……」

ジョルジョ「お姉さんと同じ会社で働けるかどうかわからなかったけど、サンタクロースになるって決めたんだ」

ジョルジョ「けど、就職して、同じ会社にお姉さんがいてすごく嬉しかったんだ」

ジョルジョ「初めて会った日に嬉しくって嬉しくって!」

ジョルジョ「だから、こんな風に落書きしちゃったんだ」

ジョルジョ「お姉さんが見てるとは思ってなくって、書いてたんだけど……」


レイチェル「見てたよ」

レイチェル「それで?」

レイチェル「あたしに憧れてサンタクロースになろうとしたんだ?」

ジョルジョ「はい、そうです」

レイチェル「(照れて)へぇー、そう。ふーん……」

レイチェル「結局、あたし、サンタクロースにはなれなかったけどさ」

レイチェル「ジョルジョ、あんたの友だちでもいいかな」

レイチェル「……いつかは恋人になってもいい」

ジョルジョ「(感激して)……まるで夢みたいだ」

ジョルジョ「これからもよろしくお願いします!」


The End

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ボイスドラマ「サンタクロースとラブレター」 ヤチヨリコ @ricoyachiyo0

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