本作は、おそらく短編です。しかし、章の数は35です。ページが35にわかれています。もしかしたら、長編なのかもしれません。文字を読む体験は、上から下へ読み進める単調な動きになりがちですが、Webならではの形で、それを覆しています。3000字の文字で説明するようなシーンも、なるほど、こうすれば1行で頭に情景が浮かびます。ちょうど紙芝居で次の展開が気になるように、切なくもあたたかな喪失と再生の物語が、言葉少なに、しかし丁寧に描かれています。