報告書

 門田町怪異集 〇四五


「午前二時の地縛鏡」


 数多の人を手にかけてしまった哀れな少年の魂が濃く、べっとりと憑いた鏡。


午前二時に合わせ大鏡の前に立てば自分の未来が見えるという都市伝説が流されたが、実は大嘘。その正体は自分の人生をやり直すべく待ち構える怨霊が犠牲者を誘い出す為の甘い罠でした。

彼らは犠牲者の心の闇を見事に暴き出し、話を捏造しては彼らにそれが未来だと信じ込ませる。最終的にはその「未来」を信じ切った者達を鏡の内に誘い込み、魂を喰らい、鏡内にあった代わりの魂が抜け殻に寄生して代わりに人生を全うしていたようです。――が、最近の傾向として同じ少年の体と歴史をぐるぐると巡り続け、魂が解放される度に罪を重ねているようです。

要因として考えられるのは、合わせ鏡の魔力によって永遠の輪廻が繰り返され、度々微細な歴史の変化と永遠の悲劇が繰り返されているからであろうと思われます。要するにこの怪異も末期だということです。

 地縛霊の少年に同情しない訳ではないですが、いつ最悪の歴史に落ちるかは分かりません。


 来月の○日に「祓」を行うように調整致しました。運命神のご参加をお願いいたします。


 追記事項:

 そんな簡単に人は変わりませんね。罪滅ぼしも自己満足ということなのでしょうか、それともちゃんとした浄化の儀式を行えば生まれ変われるということなのでしょうか。

 話が逸れました。

 以下、「祓」の一部始終になります。

 怨霊の魂が救われんことを。

(略)


(執筆者:黒耀)


(Fine.)

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午前二時 星 太一 @dehim-fake

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