現代世界の魔法不適合者 魔力を駆使して擬似魔法

第33話 武器を持て！戦え！命ある限りッ

ああ゛ぁァァッ！！！——絶叫と共に込み上げてくる壮絶な痛み腕を抱えて蹲る

「ちょっこんな所で！倒れないでよッ『殲滅 絶火の腕』ロキ！」

「ハっ借りるぞ侍！『火天』」

天内の放った魔法は無数の炎により構成され、触手のようにうねりながらその標的へと向かっていく

一方ロキはシロウから刀を奪うとその刀に火を灯し火天による炎の斬撃を繰り出す

少し不味いわね…何よりシロウが負傷してるしかも腕切り落とされてるしさっきの不可視の斬撃は避けようが無い

もし仮にその攻撃が何処までも届くなら今の状況は最悪とも言える

ロキは火力特化だから多分私に意識を向けていても簡単に対処出来るし、、、

「ロキっ一緒に攻めるわよ！『蒼炎』もう温存は無し、本当に終わらせる」

了解、一段階ギア上げていこうか

二人は蒼の炎を身に纏い周囲を燃やす

ロキの炎はただ手を振るうだけで辺りを燃やし天内の炎の剣は触れた物全てを斬り捨てる究極の剣へと昇華した

「成程、よもや迫り合うどころか触れる事すら叶わぬか…それに超広範囲の絶炎厄介極まり無い」

あの女の魔剣士の攻撃は絶対に回避しなければならない、だが炎を全て剣に宿したのか魔法は撃ってこない

まぁその分あっちのが高火力なのだが……

「その立ち回り、やはり其方は素晴らしい、安心するが良い戦意の無い者を殺したりはせん、だから思う存分楽しむがよい」

「命掛かってるのに楽しめるわけないでしょッ！？だから大人しく斬られなさいよ！」

「燃えやがれ！てか良い加減死ね！」

炎の柱と斬撃が天津を襲う……だが攻撃を受けたのは、斬られたのはロキと天内のほうだった

「ウグっ！？不可視の斬撃ッロキ！攻め続けるわよ、相手に一切の猶予を与えないで！またあの攻撃が来る！」

「わかった！『流星火（りゅうせいか）』、ナッハッハッ！全部避けきれるかぁ？」

範囲攻撃を得意とするロキの炎は圧縮されさながらレーザーのような超高密度の十もの炎が天津を穿つ為だけに放たれた

炎はその通った周囲の空間をも焦がして進む

キンッカキン——何故だろう、本来物質ですらない炎を刀でガキンッと音を響かせながら躱わし、逸らし挙げ句の果てには弾いていた

「今のは本当に焦った！いやはや天晴れ、あともう少し極まっていれば例え拙者であろうともこの身を焼き殺されていたであろう」

マジかよ、ハハッ面白れぇ…………

いっ意識..が、いや、、腕が…ない

痛いっ身体中が重りにでも引っ張られてるのかと思ってしまうくらい、、、

逃げたいとは思わない、が、酷く恐ろしい……

あの者は拙者の目指す先に一番近い、だから分かってしまう

拙者では何をしようとも勝てないいや、腕を斬られた時に、自覚させられた

拙者には、負けると分かっていて戦うことなどできなかった

だがあの人は今もなお戦っている、本当に、拙者は何をしているのであろうなぁ……意気揚々と戦いの場に赴きたかが腕を斬られただけでこの有り様

この様ではお祖父様に叱られてしまう、ハハッ拙者は何故刀を持ったのか………

あれ？本当に何故拙者は刀を握ったのだ？なっ！？あっあぁ…思い、出した！何故、何故今まで忘れていた！拙者は

——「拙者はッ！ハァっハァっハァ…魔法、剣よ、戻れ」

何処からともなくゲートが出現しロキが借りていた剣がゲートを潜りシロウの元へと帰って行った

「はぁ今はあの叔父の用意に感謝せねばな、エクサリーを入れるなどとは、、、」

切り落とされた腕と傷口をつけそこにエクサリーを掛けると瞬く間に傷は塞がり元の腕へともどっていた

エクサリーの効果は凄まじいでござるなぁ、さて、今度こそ助太刀に参ろうか

「ロキ、そろそろ潮時よ、はぁ戦って勝ちたいって思ってたんだけどね、これ以上はダンジョンの被害も、何よりあのシロウの傷も危ない」

悔しいけど、コレが今の私の実力ね、てか神楽、あんた一体いま何処にいるのよ………

「あぁ、てか刀どっかやっちまったんだが、まさか熱に耐えきれなくて溶けたか？」

「ハァ〜急に何を言うかと思えば、白けるでは無いか、あんまり拙者をがっかりさせてくれるな」

先ほどまでの言葉遣いだけはフレンドリーな雰囲気からは打って変わり殺意で満ちた覇気で天内を睨む

「だからさっきから殺し合いなんて楽しめないって言ってるでしょ？アンタこそ燃やされたいの？」

こちらも威嚇

両者睨み合い次の瞬間何方も相手の命を狩るため踏み出した、が、絶大な轟音と共に巨大な砂埃を舞わせ間に割って入ってきた者がいた………

「二度も済まぬ、どうか拙者も混ぜてくれはござらぬか？