第三話
マングースを観察することになった嵐山の大根おろしは、どっこいしょどっこいしょと声を上げ、フルーツポンチの春雨サラダを胃に溜めながら、ホットドッグを口にくわえていた。金太郎アメを施した一節によると、これは大雨が降る前兆らしい。本当だろうか? いや、佐藤が言うのなら本当なのであろう。クランベリーを首から下げた乞食は歓声を上げた。きっと商売が繁盛して嬉しくなっているのだろう。おじいちゃんバンザイ。武蔵と小次郎はインターネットで昨日の天気を調べていた。うーむ、明日はちゃんこ鍋じゃ。結構なことだ。佐藤は小次郎をはっ倒し、もっと気合いを入れろとと叫んだのだが、みごとに小次郎の返り討ちに遭うのだった。ところで冷蔵庫にあるプリンは納豆味を開始しているのだが、警察官を呼んだ方がいいのか? いや、誠にこれ、難儀な忠義で銀座の六丁目を歩く子犬とばかり申し上げるんじゃないか?
ノンアルコールビールとこしあんの組み合わせはなかなかいける。クジラのベーコンをしゃぶっていたさんざめく星々は、今日も豊かで風流であるが、あれは流れ星だろうかと眺めた星は実は織り姫だったのだ。ムースとババロアとクリームチーズくらいの差異がある。差し引きラブレターを受け取った木更津港を眺める佐藤と、忠犬ぶち公のような風景に見とれているのだった。
セイクリッドアローが炸裂した。けん玉を楽しんでいた四十代のロン毛はいとも容易く倒れ、首を切られたほうとうはカボチャを引き連れて泣き叫んだ。コインとメダルとサンショウウオを取り違えてしまった医者はクビにはならなかった。代わりに首を切られたのが、もうおわかりになるとおり佐藤だったのだ。
夏の海が見えてきた。海の家の錆びた切り妻屋根にはカモメがとまり、自転車を漕ぐスピードはますます上がったのだが、人身事故で死んだ。アイスクリーム屋に就職した弾丸は秘匿されていた。モグラ叩きを戦術とするモスクワの将軍は、電子辞書を片手に発狂しているようだ。もっさりとしたクッキーをむさぼるウレタン。くじ引きをエジプトのピラミッドの壁画に描き込んで、恥を掻いた中華料理。大きい現金輸送車がバンコクへ行く途上、南極が空から降っていた。覆した大地は海の家のかき氷へと吸着され、穏やかなブルーハワイとなったらしい。目撃者は佐藤一名である。
パン粉をまぶした神社を蹴り飛ばすと、バルーンアートをやっているボタニカル国王がヘビメタを始める。社会的クリアファイルと宮殿の冬だ。これが佐藤と私との思い出になったのだが、黒ずんだ歴史に近付いてきている。菖蒲湯に入ってこれを読み返すと、なんとも腐れ縁とは有言実行と呼ばれる。佐藤はネックレスを外し、窓の外に放り投げた。夜空に舞う、煌めき。
パパイヤと結晶化についての論文を発表したよ。円形闘技場には百人の人が集まったけど、皇帝陛下はご立腹である。なにしろ王冠を家においてきちゃったのだ。ヨットに乗って取ってこようと佐藤は言った。そんな恥ずかしいことできるかと皇帝は腹を立て、佐藤の心臓を取り出してしまったので、佐藤は今日までずっと家で泣いていた。くわばらくわばら。と思ったら佐藤は泣いているんじゃなくてスマホでゲームしてやがった。この野郎。
むろんくっちゃべってもいいことなどひとつもなく、ビー玉を削って三角錐にするという遊びをしてたら、カラスがやって来て取られちゃった。それにしても喉が痛くなったので水飲み場まで行って、ペットボトルのウーロン茶を飲んでいったん休憩とした。明けの明星が姿を現し始めているが、きっとなにかの間違いだろう。ポーションをウーロン茶で流し終えると、チンパンジーの呼び声がしてきた。無視した。
いたた、ハチマキが筋肉に変わろうとしている。クジラの肉を食べ過ぎるとこうなると聞いていたが、まさか本当だったとは。キッチンペーパーで汗をぬぐってシャツを脱いで砂鉄を舐め回す。グランドキャニオンを踏破する日はもうすぐそこまで来ている。こじ開けた根性を怪物に変えたあいつをぶっ倒すまで、佐藤はこのムチを振るい続けることを決めた。まずは冒険者協会に登録しなきゃいけない。そこからだ。すべてはそこから始まるのだ……!
私はセイロン茶を飲み干すと、お腹が空いてしまうという妙な体質にある。冷蔵庫にあるコーヒーゼリーを平らげると、電灯を見上げて眠くなるのを待つ。
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