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この手紙を受け取る頃には、君は屋敷に戻って来ているだろうか。出発の挨拶に行ったら、入れ違いで外出していたみたいだからね。
実は、おれは休暇旅行も兼ねて、天然硝石の交易に関する話し合いのためにクラウハン地方のケアダ公国に来ている。この一帯は、乾燥がひどくて砂漠化も進んでいるみたいだ。おまけに、ここ最近は地震も多いらしい。豊かな森林もあるにはあるんだが、近づくことを禁じられたよ。デカい回廊の上から眺めるだけだ。
しかし、確かに森からは人界のものとは違う気配を感じたんだ。また昔の仕事をさせられるものとみたよ。交易の話は表向きというわけさ。ハッキリ言えば良いのに、王室も人が悪いと思わないかい?
とりあえず今は公邸の一室で待機中です。状況はまた手紙を送るよ。
そっちは、もう夏かな。こちらはこれから冬だ。寒い。
じゃあ、身体に気をつけて。早く帰国できるように祈ってくれよ。
親愛なるカレム=ペンデックへ
タンジェ
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