#43 月刊誌ヴィサージュ10月号 巻頭特集

 今月の顔Le visage de ce mois-ci

 ザザ・レスコー

『妖精のきず

 

 最新のインタビューを通して編集部が特に注目するひとりに焦点をあてる「今月の顔Le visage de ce mois-ci」。

 今月は、ファンタジックラブコメディ『から騒ぎFUSS』で妖精たちのつくった媚薬が巻き起こす恋の行方に翻弄される少女を演じるザザ・レスコー。

 天国劇場テアトル・ド・シエルで上演、マルタン・ロンダ氏の遺作となった舞台『パリアンテ』で初舞台・初主演に抜擢された実力派女優。今最も注目を浴びる新星の顔に迫ります。




 新作舞台『から騒ぎFUSS』で、男装の麗人という難役に挑むザザ・レスコー。彼女が演じるミリヤム・ブレンバリは、侯爵家の庭師をしている養父母の元で育てられられる孤児みなしご。フェルト侯爵の息子、ベルンハルドの従者として、また遊び相手として、兄弟のように育てられた。ミリヤムが16歳、ベルンハルドが18歳になった年、ベルンハルドの花嫁候補として現れた商家の娘、ソーニャがミリヤムに一目惚れ。ソーニャは妖精たちのつくった媚薬を利用してミリヤムを振り向かせようとして騒動が起こるというラブコメディ。

 ザザ・レスコーは「ひと目見て脚本に恋をしました。これも妖精たちのつくったの媚薬の効果かもしれません」という。

「皆さまにお見せできる日が本当に待ち遠しい、本当に楽しい舞台です。脚本はとても美しく描かれていると思ったし、読後はとてもハッピーな気持ちになれるオリジナル作品です。共演者にも恵まれ、ベンハルド役のオレールにはたくさんのアイデアをもらっていい刺激を受けています」


 ――あなた自身、今夏大きな騒動に翻弄されましたが……


 天国劇場テアトル・ド・シエルでの痛ましい事件につきましては、突然のことで、言葉もありません。

 私が女優として舞台に出演できるのもロンダ氏がいたからこそです。ロンダ氏がいなければ今の私はありません。故人には言葉に尽くせないぐらい、公私に渡りたいへんお世話になりました。心よりご冥福をお祈りしています。

 今回の舞台に立たせていただくことは、ロンダ氏はもちろん、心細く挫けそうになっていた私を支え、お心遣いくださった仲間や舞台関係者の皆さまへの御恩返しだとも思っています。ご指導を胸に刻み、一層の精進に励んで参りたいと思います。


 ――『から騒ぎFUSS』のミリヤム・ブレンバリとはどういうヒロインだとお考えでしょう。


 ミリヤムは芯の強い女性だと思っています。

 養父母の願い通り、女性であるという「本当の自分」を捨て、男性として生きようとしている。「本当の自分」を捨てる覚悟というのは並大抵の覚悟ではできないと思います。

 そんなミリヤムが、妖精たちのつくった媚薬の効果をきっかけに、ベルンハルドとソーニャとの間で起こる騒動に巻き込まれながら、葛藤して成長していく姿に注目していただければと思います。


 ――ヒロインのミリヤムは身分違いの恋に悩みますが、あなた自身、恋に悩んだことは?


 私にはまだ、恋愛に悩む経験はありません。

 恋に焦がれている状況です(笑)。今は仕事で精一杯で。

 そういった点では、物語当初、ベルンハルドの良き理解者として共にあり、従者として従う、ミリアムに似ているかもしれません。

 いつかベルンハルドのように熱烈な愛の告白をしてくれる男性が現れることを願っています。



 1879年10月22日からパリ国立新劇場ほかにて公演

 舞台『から騒ぎFUSS

 ミリヤム・ブレンバリ(ザザ・レスコー)は、女性であるにもかかわらず、養父母の仕えるフェルト侯爵の意向で、公爵の息子、ベルンハルド(オレール・アンジュ)の従者として、また遊び相手として、男性として育てられる。しかし、男装しているミリヤムに一目惚れした商家の娘ソーニャ(ミシェル・アルレー)が、妖精の媚薬を手に入れたことで大騒動が始まる。

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