日常生活のちょっとした幸せ

hekisei

第1話

1:自宅で感じる幸せ


自宅で露天風呂ろてんぶろに入るところを想像する。自宅に大きな庭があってそこで手足を伸ばして露天風呂に入ることができれば最高だ。しかし、それは夢のまた夢。なら現状でどうするか。


そもそも露天風呂のいいところは何かと考えてみる。要素は3つある。風景が見える、顔に風が当たる、手足を伸ばせる。どれか1つ選べと言えば「顔に風」だ。つまり自宅で狭い湯舟ゆぶねであっても、顔に風が当たればそれで露天風呂気分になれる。


幸い、オレが住んでいるのは集合住宅1階の端っこだ。そして風呂場は外に面している。ということは風呂の窓を開けると顔に風が当たる! これこそ最高の贅沢ぜいたくだろう。というわけで休みの日なんか1日に2回も風呂に入ることがある。


2:職場で感じる幸せ


職場でトイレに行く。オレの勤務先は建物が古いせいか、洋式トイレより和式トイレの方が多い。でも、和式っていうのは苦しい。だからオレはいつも洋式だ。でも、お気に入りの場所は限られている。


オレのお気に入りは皆のお気に入りでもある。だから、せっかくトイレに辿たどり着いても使われていることが多い。なので、使われていなかったときに感じる幸せは格段のものがある。


3:新幹線で感じる幸せ


これはもうスジャータのアイスクリームにつきる。もちろんバニラだ。甘さ、濃厚さ、そして硬さが絶妙のバランスだ。カチカチにこおったものを少し室温放置しつおんほうちし、軟らかくなったところから木のサジを入れて少しずつ食べる。これ以上の贅沢があるだろうか?


4:出勤時に感じる幸せ


最近はもっぱら車だが、以前は電車通勤も多かった。オレはそもそも荷物を持たない。かばん紙袋かみぶくろもだ。というのも、手に何か持っていると必ずオレはどこかに忘れて来るからだ。これまで地下鉄の忘れ物受付には何度も行った。そのたびに自己嫌悪じこけんおおちいってしまう。だから手に持つのはせいぜい雨が降ったときの傘くらいだ。傘ならどこかに忘れて来ようが、取りに行く必要はない。よっぽど高価なものなら別だけど、ビニール傘ならあきらめることにしている。


5:皿洗いに感じる幸せ


オレは皿洗いが大好きだ。もちろん台所が片付いて気持ちがいいというのが最大の喜びだ。しかし、冬なんかはお湯を使った皿洗いが冷えた手をあたためる。また、YouTubeでニュースや教育番組を聴きながら皿を洗うと少しかしこくもなれる。もちろんそういう時はワイヤレスイヤホンを用いる。イヤホンなしだと水の音で聴こえにくい。かといって、普通のイヤホンだと水でれてしまうからね。やっぱりくびの後ろにひっかけるワイヤレスイヤホンだ。


-完-

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