司書という名の神~図書室に潜む最強の存在~

風音紫杏

第1話

 皆様、こんにちは。もしくは初めまして。

 風音紫杏と申します。どうぞよろしくお願いいたします。


 さて、このエッセイを読んでいる皆様方は、間違いなく小説が好きな方、活字が好きな方、活字中毒の方でしょう。


 そんな我ら、活字中毒者たちの、学生時代の桃源郷。学校のオアシス。




 それは間違いなく、図書室であると、私は言い切りたいと思います。




 図書室。


 それは、多種多様な本が一堂に会する場所であり、校内の活字中毒者たちが活字を嗜むために設立された空間です。


 なろう、カクヨムにユーザ登録している方で図書館に行ったことがないという方は、あまりいないのではないかとも思っています。




 本題に戻りましょう。




 私は、小学生のころから、活字という禁断の知恵の果実の味に溺れていました。


 鬼ごっこ等の走り回る遊びや、体育の授業も大好きでしたが、それ以上に、学校の片隅に位置する図書室へ行く時間が大切でした。




 中学生になると、文芸委員(文化委員+図書委員のような委員会)長にまでなりました。ついでに、文芸委員長に立候補した動機の一つに、本来図書室に入れない時間であろうと、自らが暇であれば勝手気ままに出入りできるからだというものがあることを、ここに告白しておきます。




 そんな図書室に不可欠な存在。




 それは、司書だと断言できると思います。




 司書。それは図書室の神です。


 なんせ、蔵書の発注から分類から目録作成までを担当し、貸し出し延滞の本がないか随時チェックし、ほぼ全ての蔵書の位置を把握するというとんでもない業務を行っているのですよ。


 これを神と言わずして、何と言えばいいのでしょうか。




 また、図書室というのは、保健室と並ぶ、辛いこと、苦しいことがあった生徒のための避難所でもありました。


 友達とうまくいかない、テストで悪い点を取った、担任が合わない…


 そんな悩みを、生徒たちは司書に打ち明けていました。


 司書はカウンセラーの方よりも身近な存在で、図書室に行けば常に会うことができるという安心感があったからです。


 司書の方は、そんな生徒たちのカウンセリングという、業務外の仕事まで行っているのです。




 当然、一般の生徒の蔵書の位置の質問から、


 「面白い本を読みたい」


 といった究極かつ難解な質問にも真摯に向き合ってくれます。






 そんな司書は、学校司書と、司書教諭という二つの種類があることをご存じでしょうか。




 違いをざっくり解説するならば、学校司書は『学校の教員ではなく事務職員として採用されて、学校図書館に常勤あるいは非常勤で勤務している者』ことを。司書教諭は、『学校の教員として採用され司書教諭の資格も持っている人が、その学校の中で任命され図書館の管理・整備の職務を引き受けている者』のことを指します。




 日本では、全ての学校に司書教諭を置くことが義務付けられています。




 しかし、多くの学校では、司書が不在に近い状況下にあります。


 なぜなら、大抵の学校は、国語教師をはじめとした資格を持った教師に司書を兼任させているからです。


 当然、教師は授業を優先しなければならないため、常に図書室にいることは不可能。


 そうなると、生徒たちは司書に悩み事を打ち明ける機会が少なくなってしまいます。


 第一、司書に悩みを打ち明けるのは、司書が直接的に授業に関わることが少ないという理由もあるため、普段から授業を受けている教師に悩みを相談することなど、まずしません。




 司書という単体の仕事だけでは賃金があまりにも低いということもあるのでしょうが、やはり、司書というのは専門職であり、それ一つに集中すべきものだと私は思っています。




 私の場合、小学校にも中学校にも司書がいましたが、中学校の司書になると、あちこちの学校の司書を兼任しておられ、喋る機会も限られていました。




 私たちの桃源郷、図書室の神であり、カウンセラーという大事な職、司書。




 彼らの存在の大切さを、もっと多くの人に認識してもらいたいと思っています。


 

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司書という名の神~図書室に潜む最強の存在~ 風音紫杏 @siberiannhasuki-

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