みうちゃんとオナラ泥棒

國分

第1話 みうちゃんとオナラ泥棒

 ある日みうちゃんは、寝る前の布団の中で悩んでいました。

 もう1ヶ月もおならが出ていないからです。

 私の体どうしちゃったんだろう、このままオナラが出なかったら、お腹が爆発して死んじゃうんじゃないかしら。

 でもこんな事、恥ずかしくて誰も相談できませんでした。

 そのままみうちゃんは、考えながらは寝てしまいました。

 しかし、夜遅くにズボンのお尻のところがムズムズする感覚で目が覚めました。


 「オーエスオーエス!!頑張れ頑張れもうちょっとだ!!」


 背中の方から小さい声が聞こえます。


 「いいかみんな、もうちょっとだ!!ソーレ、頑張れー、ほーらほーら。」


 みうちゃんは不思議に思い薄目を開けて、後ろをのぞきました。

 すると小さい黒い影たちが一斉に逃げて行くのが見えました。

 次の日の夜、みうちゃんは寝たふりをする事にしました。

 昨日の影の正体を確かめるためです。

 みうちゃんが寝たふりをしていると、小さい声が聞こえてきました。


 「今日こそいっぱい集めるぞ。そーれ。」


 またお尻の辺りがモゾモゾ動いています。

 みうちゃんはパッとズボンのお尻の辺りに手を突っ込みました。

 すると何か小さなものを握りしめました。

 電気をつけて確認すると、白い小さなネズミでした。


 「ちょっとあんた達、何やってるのよ!」


 みうちゃんは驚き半分恥ずかしさ半分で、ネズミ達に怒鳴りつけました。


 「ごめんなさい、これには理由があるんです。」


 ネズミ達は美羽ちゃんに理由を話しました。


 「今年の冬はとても寒くて、皆凍えているのです。そんなある時、あなたの噂を聞きました。みうちゃんはとてもオナラが臭いのだそうで。そして毎日沢山のオナラを出すそうですね。だから私達はそのオナラをちょっと借りて暖を取ろうとしてたのです。どうせ捨ててしまうものなら、僕達が有効に使った方が良いと思ったのです。」


 オナラがとても臭くて量が多いと言われ、みうちゃんは恥ずかしい気持ちになりました。


 「それは確かに捨てるものだけど、そんなの私に言ってくれればいいじゃない。」


 「人間は私たちを嫌ってるので、そんなこと頼んだら殺されちゃうかもしと思ったのです。」


 「わかったわ。あなた達が凍えて死んじゃったらかわいそうだから、私が協力してあげる。でもどうやってはあなたたちにオナラをあげればいいのかしら?」


 みうちゃんの質問に、ネズミ達は自信満々に答えます。


 「1階の台所の隅に小さい穴が開いてることを知っていますか?」


 言われてみると、確かに台所の隅に小さい穴が開いてる気がします。


 「その穴からオナラを出してください。そしたら私達がそれを回収します。」


 「穴にオナラをするだけで良いけど、あなた達はどうやってそれを捕まえるの?」


 「風船でオナラを集めます。」


 よく見ると、ネズミ達は風船を持っていました。


 「 わかったわ、そうする。でもいきなりオナラをしたら捕まえられないだろうから、オナラをする時は床をバンバンバンって3回叩くわね。」


 「ありがとうございます。これで寒い冬も何とか乗り切る事ができそうです。」


 翌日、家に誰もいない時間を見計らって、みうちゃんは玄関の隅に行きました。

 ネズミ達が言った通り穴が開いています。

 そのまま穴にお尻をくっつけて、バンバンバンと3回床を叩きました。


 「行くわよ。」


 みうちゃんは勢いよくオナラをしました。部屋中に大きな音が響きます。

 ネズミ達はと言うと、床下の穴にくっつけた風船が大きく膨らんで、ニッコリしていました。


 「ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」


 ネズミ達は、風船で集めたおならに火をつけて暖を取りました。

 その冬ネズミ達は暖かく過ごすことができました。


「あー、自由にオナラ出来るのって、幸せ。」

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みうちゃんとオナラ泥棒 國分 @m_kokubun

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