あとがき 本作『四天王寺ロダンの挨拶』について

 日南田ウヲです。


 忙しい最中、

 ここ迄、本作を読んで頂きありがとうございます。


 この『四天王寺ロダン』シリーズは別のウェブ小説サイトにて連載していたものを時間を見て、加除訂正を加たものをこちらで再連載したものです。

 そもそもこの本作は副題が『嗤う田中』シリーズであり、『田中』を主人公に書き綴った短篇ミステリー集の一部になっています。 

 『嗤う田中』シリーズは様々な『田中』が事件に巻き込まれ、それは時に犯罪者に、また事件の傍観者に、ある時は探偵、その助手になる物語で、この『四天王寺ロダン』シリーズもそうした「田中」を巡る一作品に過ぎなかったのですが、どうも主人公のキャラクターである四天王寺ロダンが、今の言葉で言うキャラ立ちしてしまい、本作『嗤う田中』シリーズから独立させたものを、改めて本作『四天王寺ロダンの挨拶』として書き綴ったものです。


 彼自身は難波という都市にすむ若者で、役者を目指し日々日夜演劇の稽古に精を出していますが、いかんせん、彼の性格がどうも何事かを突き止めなければ嫌なようで、それが故に、不思議な事件に巻き込まれ、いや自ら乗り込んでしまっているようです。

 そして彼の足取りは『馬蹄橋の七灯篭』でクライマックスを迎えます。

『馬蹄橋の七灯篭』、この作品における本当の犯人は誰であろうか?

 読めば読むほど、誰だか分からない、むしろ多くの人が可能性を秘めている、つまり四方灰色の世界。

 でもどうでしょうか?現実にはこの人が犯人ではないだろうか?という、推定犯人が存在します。

 つまり犯罪を立証できないが、前後の個人的背景とストーリで、その人が犯人ではないか?

『馬蹄橋の七灯篭』は、そんな四方灰色の世界で躍動するロダンの足取りと、彼の秘匿すべき優しさを織り交ぜて、読了後には何処か釈然としない、そんな位置に読者を持って行けるように書いたある意味試験的作品とも言えます。

 そして、彼は失恋して、山口へ行きます。


 この『四天王寺ロダン』シリーズはそこで結末を迎えて終わる筈でしたが、幾人かの彼のファンが居るようで、彼自身の後取りを作家自身が追ってゆく形で、再び、新連載をしています。


 またいずれかの時にか、皆様とお会い出来たら幸いです。

 最後に本作はアルファポリス社の第六回ホラーミステリ―大賞の最終選考に残り、『奨励賞』を頂きました。 

(つまり、何とか小説の態はあるという事ですね(笑))


 では、また

 いずれかの時に


 


 2023.5.5

 カナブーンの『ロックンロールスター』を聞きながら

 #日南田ウヲ





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四天王ロダンの挨拶 日南田 ウヲ @hinatauwo

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