夢を見ない僕は、夢を診る

 まず初めに一番大事なことを言います。
 ここ最近読んだ小説の中で、一番面白かった!!
 独特な世界観に魅力的なキャラクター。人間の深いところまで入り込むような緻密な感情描写。本当に素晴らしいです!
 主人公は人に「憑く」悪夢を祓う「悪夢祓い」の一門。基本的に夢に入り込んで治療を行う悪夢祓いですが、彼は「夢を見ない」という特殊体質の持ち主。これは悪夢祓いになるには致命的なことですが、ある利点も持ち合わせています。具体的にどのようなものなのかは、読んでからのお楽しみですね笑
 そんな特殊体質のせいもあって、どこか浮世離れした雰囲気を持つ主人公。常識が欠けていたり、同調性が薄かったり。そんな彼が「治療」を通して成長していくさまも見どころです!
 この作品は、カクヨムでは珍しく、一話が二万~三万文字と長く、隙間時間で読むには向いていないかもしれません。しかし、それでいいのです。ぱぱっとお手軽に楽しめるスナック菓子ではなく、じっくりと時間をかけて味わう高級なメインディッシュ。深みのあるストーリーに、きっとあなたも魅了されることでしょう。
 さて、それでは——いい夢を。