第3話:【不知火朔様 �����ゲームへようこそ】
【不知火朔様 �����ゲームへようこそ】
画面には確かにそう表示されていた。
「ある日突然スマホにインストールされたんだよね〜」
昼間の伊織の言葉を思い出す。これが伊織が言っていた状況なのだろうか?いやでもこれは本当に現実なのか?夢の延長線じゃないのか?次々と浮かんでくる疑問。それを頭から追い出していま1度画面を見る。普通なら上に表示されるはずの時間や充電量を表すマークはどこにもなくただ黒い背景に赤文字でゲームの招待状があるだけだった。ゴクリと唾を飲み込み画面に触れる。すると画面から光が溢れ出してきて俺は眩しさのあまり目を瞑った。
次に目を開けた時俺は目の前の景色に目を疑った。
「は、、、?どこだよここ」
俺の周りに広がっていたのは見慣れた自室ではなく『何もない黒の空間』だった。手を伸ばしてもベッドや机など先程俺の近くにあった物らしきものが手に触れる感覚はない。手に持っていたスマホも無くなっており俺は着の身着のまま暗闇の中に突っ立っている状態だ。歩いても周りの景色が変わらないので動いている気がしない。まずどうしてこんな場所にいるのだろうか?これもまた夢の延長線じゃないのか?追い出した思考が再び頭に入ってくる。考えが纏まらない頭と何もない空間で気が狂ってしまいそうだ。
「おい!ここは何処なんだよ!」
誰もいないのに呼びかけるかのように叫ぶ。そう誰もいない、、、はずだった。
『�����ゲームへようこそ不知火朔様』
頭上から声が聞こえてきた。見上げても周りと同じで黒い空間があるだけなのに。
『只今より�����ゲームについての説明及び初期設定を開始します』
声からして50代近い男性といったところか、、、いや待て待て。
「おい、その前にここは何処なんだ?」
『�����ゲームの中でございます』
「、、、は?」
今、空の声は�����ゲームの中だと言ったか?ゲームの中に入れるわけ、、、いや伊織入ってたな。
「これは夢なのか?」
『夢だと思うか現実だと思うかそれは不知火様の判断にお任せします』
「じゃあとりあえずは夢だと思っておく」
『さようでございますか。、、、では�����ゲームの説明及び初期設定を始めます』
手元に半透明のディスプレイが現れる。そこには箇条書きでこのゲームについてらしきものが並んでいた。空の声は何も話さない。どうやら自分で読み込めということらしい。さほど大事な事は書いてないと思い俺はいつもの癖で流し読みをする。要約すると
・このゲームはフルダイブ型MMORPGである
・ゲーム内で何をするのかはプレイヤー次第
・個人個人でやるクエストの他に『世界の四隅にある聖石を中央の祭壇に捧げること』というプレイヤー全員で取り組むメインクエストが存在する。
・現実にはメニューからログアウトを選択することで帰還出来る
・アプリを起動させるだけでゲームに入れる
・アプリはアンインストール出来ない
とのことらしい。メインストーリーがプレイヤー共同なのは珍しいな。まだクリアされていないらしいからかなり難しいということだろう。俺が読み終わったのを確認したらしくモニターが消え新たにモニターが出現する。
【プレイヤーネームを設定してください(変更は出来ません)】
俺は迷わずどのゲームでも使っている名前を入力して決定ボタンを押す。すると別の画面に切り替わった。
【使用武器を選んでください(変更可能)】
画面に武器のアイコンが表示された。変更可能ということはゲーム内でスキルが習得できるということだろう。俺が普段使ってる武器もここにはなくてもゲーム内にあるかもしれない。その時までは2番めによく使っていた武器にしようと俺は『片手剣』を選択した。その後も細かい設定を済ませていく。
【本当にこれでいいですか?】
Yesを選ぶとモニターが消えた。これが最後の質問だったらしい。
『初期設定完了を確認。プレイヤーをはじまりの街に転送します』
先程の声とは違う無機質な機械音声が頭上から聞こえた次の瞬間重力が下に向かっていくのを感じた。そう、身体が落下し始めたのだ。突然の出来事に悲鳴をあげることすら出来ない俺の耳には最後こんな言葉が入ってきた。
『それでは不知火様いえサクリ様健闘を祈ります』
�����ゲーム アルモ8 @arumo8
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