第5話 林司❤香蓮の結婚式?!の夢
やっとのことで眠ってくれたか・・・・・。
僕にはこんなに食べる彼女が豚に見えてくる。無邪気な寝顔を見せる香蓮。夢の中で
一体何を考えているのだろう。
「林司・・・・・好きだよ・・・・・もっと良いもの作ってねぇっ」
?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!
「何だって?!おいこいつ!!なんの夢見てんだ!!」
めっちゃでっかい声で叫んでた!!
金魚の「ぎょっち」は少し騒々しく鉢の中を泳いでいた。バチャバチャという音を
しょっちゅう鳴らしながら。
「なあ、ぎょっち。お前は香蓮のことどう思う?」
まだ僕に慣れていないのか、鉢の奥の方へ泳いで行ってしまう。
「僕は彼女と付き合うべきなのか?」
ポコポコと泡を口から出していた。その通りだと言っているのだろうか。
「これから、僕はこの家を出て行こうと思っているんだ。どう思う?」
そう言うと、関心なさそうに鉢の周りを周回していた。
「ぎょっちは香蓮のこと好きか?」
最後の質問に対して、小さな金魚は頭を曲面の鉢にぶつけていた。
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ここはどこだろう?林司は戸惑きを隠せない。
「おめでとう!!香蓮、本当におめでとう!!」
目の前では香蓮が純白のウエディングドレスを着て笑っている。
「ねえ、林司。これから私たち大丈夫そう?」
「そりゃそうだ。料理は全て僕が作れる」
そう――香蓮の横にいるのは正真正銘の森林司。
「それでは――誓いの言葉をたててもらいます」
牧師のような人物がそう言った。
「「私は、僕は、お互いを支え合い、幸せな関係と家庭を築くことを誓います」」
そう言ってから、2人はお互いの頬に唇をつけた・・・・・!
どういうことだ。僕と香蓮はそんな関係じゃない。将来絶対そうはならない。
「ケーキ入刀を行ってもらいます」
幸せそうなカップルがケーキに長い刀を――
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ってとこで、目が覚めた。
「もう・・・・・何だったんだ、さっきの夢は」
ってところで、日頃の習慣からアラームを設定していない目覚まし時計を見る。
すると・・・・・・・「AM・08:00」
「嘘だろっ!!!!」
もうこんな時間じゃないか!!何でこうなるんだ!
そして、香蓮が眠っていた部屋に行くと――いない!!
「今日は遅かったね、おなかすいた」
夢の中にまで出てきた稲吉香蓮がそこにいた。
逃走計画を頭に練りながら料理を作る。
(そうだ!)
ヒラメキというものは急に輝くものなのだな。
「って、ああ!!」
気づけば、蒸しギョーザの蒸す時間がオーバーしていた。さらに、たこ焼きメーカー
で作っていたシューマイも焦げていた。唯一上手くできたのは・・・・・フツーの
チャーハンだった。
「ごめん、色々ミスった」
感情がこもっていない謝罪を済ませ、
「さあ、座って」
と棒読みで言った。
「最悪じゃない。私チャーハンとマシなやつだけ食べる。残りは当事者が食べて」
酷い!!いくらなんでもひどすぎるだろ!!やっちゃったのは仕方ないじゃないか!
「分かった、食べる」
バクバクとほとんど噛まずに食べ、席を立つと。
「バッド。何でこうなの。もっと良いもの作れてたのに、日に日にマズくなってる」
「知るか」
そう吐くと僕は――ドアを開けて外に飛び出した。
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