第5話 林司❤香蓮の結婚式?!の夢

 やっとのことで眠ってくれたか・・・・・。

僕にはこんなに食べる彼女が豚に見えてくる。無邪気な寝顔を見せる香蓮。夢の中で

一体何を考えているのだろう。

「林司・・・・・好きだよ・・・・・もっと良いもの作ってねぇっ」

?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

「何だって?!おいこいつ!!なんの夢見てんだ!!」

めっちゃでっかい声で叫んでた!!


金魚の「ぎょっち」は少し騒々しく鉢の中を泳いでいた。バチャバチャという音を

しょっちゅう鳴らしながら。

「なあ、ぎょっち。お前は香蓮のことどう思う?」

まだ僕に慣れていないのか、鉢の奥の方へ泳いで行ってしまう。

「僕は彼女と付き合うべきなのか?」

ポコポコと泡を口から出していた。その通りだと言っているのだろうか。

「これから、僕はこの家を出て行こうと思っているんだ。どう思う?」

そう言うと、関心なさそうに鉢の周りを周回していた。

「ぎょっちは香蓮のこと好きか?」

最後の質問に対して、小さな金魚は頭を曲面の鉢にぶつけていた。


*************************************

 ここはどこだろう?林司は戸惑きを隠せない。

「おめでとう!!香蓮、本当におめでとう!!」

目の前では香蓮が純白のウエディングドレスを着て笑っている。

「ねえ、林司。これから私たち大丈夫そう?」

「そりゃそうだ。料理は全て僕が作れる」

そう――香蓮の横にいるのは正真正銘の森林司。

「それでは――誓いの言葉をたててもらいます」

牧師のような人物がそう言った。

「「私は、僕は、お互いを支え合い、幸せな関係と家庭を築くことを誓います」」

そう言ってから、2人はお互いの頬に唇をつけた・・・・・!

どういうことだ。僕と香蓮はそんな関係じゃない。将来絶対そうはならない。

「ケーキ入刀を行ってもらいます」

幸せそうなカップルがケーキに長い刀を――

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 ってとこで、目が覚めた。

「もう・・・・・何だったんだ、さっきの夢は」

ってところで、日頃の習慣からアラームを設定していない目覚まし時計を見る。

すると・・・・・・・「AM・08:00」

「嘘だろっ!!!!」

もうこんな時間じゃないか!!何でこうなるんだ!

そして、香蓮が眠っていた部屋に行くと――いない!!

「今日は遅かったね、おなかすいた」

夢の中にまで出てきた稲吉香蓮がそこにいた。


逃走計画を頭に練りながら料理を作る。

(そうだ!)

ヒラメキというものは急に輝くものなのだな。

「って、ああ!!」

気づけば、蒸しギョーザの蒸す時間がオーバーしていた。さらに、たこ焼きメーカー

で作っていたシューマイも焦げていた。唯一上手くできたのは・・・・・フツーの

チャーハンだった。


「ごめん、色々ミスった」

感情がこもっていない謝罪を済ませ、

「さあ、座って」

と棒読みで言った。

「最悪じゃない。私チャーハンとマシなやつだけ食べる。残りは当事者が食べて」

酷い!!いくらなんでもひどすぎるだろ!!やっちゃったのは仕方ないじゃないか!

「分かった、食べる」

バクバクとほとんど噛まずに食べ、席を立つと。

「バッド。何でこうなの。もっと良いもの作れてたのに、日に日にマズくなってる」

「知るか」

そう吐くと僕は――ドアを開けて外に飛び出した。

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