第4話 低評価・低評価・低評価
間もなくやってくるトゥエルブ・ヌーン。それまで、彼女の手伝い・・・・・
というよりは「“超過酷”召使い」を行っていた。
「ねえ、ご飯作って~。ラーメンお願い」
「はいはい・・・・・・・」
僕がここにいると、厨房に立った時には「召使い」から「飯使い」になるわけだ。
っていう洒落はどうでもいいとして・・・・・。
「めんどくせ。これ作り終わったら僕ここから出ていくな」
「ダメ」
「え」
「ダメなもんはだめ」
「なぜ」
「ダメなもんはだめなの!早く作ってぇ!」
「はいはい」
珍しく強い口調で言ってしまうと、強大な圧をかけられて、固まってしまった。
「出来たよ」
逃げることばかり考えながら作った醤油ラーメンとチャーハン、フレフレ餃子だ。
フレフレ餃子とは“フレ”ーバーギョーザの集まりだ。それが「フレフレ」餃子。
「それじゃあ、席について」
「・・・・・・・・」
僕はイラっと来て動かなかった。
「座って」
「僕は食べなくっていいよ。稲吉全部食べて」
「・・・・・・・分かったよ」
「稲吉」と呼んだ時点で僕にはかなり怒りが効いていた。
ズルズルズルズルズル・・・・・ズズズズ
わざとらしくラーメンをすする音が大きかった。彼女もイライラしているのだろう。
その夜——召使い兼飯使いの森林司は渋々料理を作っていた。メニューは酢豚と
エビチリ、麻婆ナスだ。やけに濃いものばかり頼んでくるなぁと思っていた。
こんなもんだったら体を壊してしまう。
「あぁ」
酢豚を作りでフライパンを振っていた自分は疲れからか、そう呟いた。
「できたよ。早く席につけ」
「林司も食べなよ。昼食べてないじゃない」
「僕は外食でも行く」
「許さないよ。美食家を差し置いて外食は無いでしょ」
そんなもん関係ないだろう。
ググーー
腹の虫は飢え死にそうで騒いでいた。
「食べる・・・・・」
3日ほど耐えた人のように着席する。
「いただきます」
そう言うと、香蓮よりも先に食べ始めた。
「あ、ズルい」
香蓮が食べると――
「ベリーバッド」
訳すと、めちゃくちゃマズいということだ。
香蓮は渋々・・・・・マズマズと食べると激しく怒り始めた。
「何でこんなまずいもの作るの。美味しいものを食べさせるが普通でしょ!」
「はぁ、知るか」
「何ですって?!」
「寝る」
いつもより2時間ほど早く、僕はベッドに寝そべった。
もっとも、すぐに眠れるわけがない。
「ゔぅ・・・・・」
ムカつくぜ。すぐに眠れない。
1時間ほどたっただろうか。ふと目を覚ますと、照明はみんな消えている。昨日は
隣で香蓮が寝ていたのだが、今日はいなかった。
「どこにいる」
「起きた??」
「うぁぁっっ?!?!」
ビックリしたぁ~!!
「夜食が欲しい。薄めのカップラーメン風を作って」
どういう注文じゃ!!
「何でだ、眠い」
「眠れなかった癖に」
「いや、そんなことは」
「今しっかり起きたじゃないの」
「あぁ!!」
作るかつくらないかの返事を行動で示すように厨房に立った。
ズルズルズルズル
この音が僕にとって一番恨めしい。ムカついて味見もせずに出した。後々汁の余りに
口をつけると、結構“こい”味だった。
「美味しかった。これから勉強するから」
「何の?」
「料理の」
「やっと自分で作る気になったか」
「いや」
もう、僕には予想がついている。
「どーせ、『注文の多い料理店』の検索だろう?」
「そう。良い店をSNSとかから探すんだっ♪」
というと、もう調べていた。
「あと、一言いうね。今回のやつ濃かったよ。薄めって言ったのに」
「知るか」
「マズかった」
あ、そうですか。
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