第39話 フェジョアーダ



ねぇ、ロマンさん?

ラ・セーヌへ連れて行ってくれるはずではなかったの?


いえ、それがちょっと寄り道をしたくなってしまいまして。


でもね、ロマンさん?

ラ・セーヌとブラジルでは方向が全然違うことありませんか?


あ、それです

全然違うのです

でも乙女にどうしても食べてもらいたいお料理があるのです。


あら、それって?

どんなお料理なの?


ブラジルの国民的お料理です。


ロマンさん?

あなたはフランスの見習いシェフではなかったのですか?


はい

でも私は世界中を旅して来ましたので。


吸血鬼としてですか?


はい

蚊族の吸血鬼としてです

あ?

日本で言う華族ではありません。


分かっています。

で、どんなお料理を作ってくださるのですか?


それです

フェジョアーダです

正確にはフェイジョアーダというのですが

日本ではフェジョアーダという人もいます。


はいはい

理屈は要りません。


乙女?

怒っていますか?


怒っていません

さっさとお料理を作ってください。


はい

フェジョアーダは

元々は奴隷の食事でした

豆が主食の奴隷たちは何とかして美味しくて栄養のあるもの

そうする為には

どうしたと思いますか?


そんなことは知りません

早くお料理を作ってくれませんか

蚊族の吸血鬼さん?


手は動かしています

で、ですね

白人たちが食べないで捨てた肉

鼻や耳、つま先などを拾って来てお豆さんと一緒に煮込んだのです。


なるほど

でもお料理の手はお休みにならないでくださいね。


はい

今、お豆さんを煮込んでいます

味付けは本場と同じように岩塩のみです

で、ですね

このお料理がとても人気料理になりまして

今では高級肉を使ったりしてレストランなどで食べられるようになりました。


ほうほう

で、お豆さんは何を使うのですか?


何でも良いのです

お豆さんなら何でもよろしいのです

ちなみに私はピーナッツなども少し入れたりします。


ほうほう

で、お肉は?

まさかの?


はい

もちろん鼻などは使いません

鼻と言っても花ではありません。


分かっています。


私が使うのは

内臓とすじ肉です。


それでも高級な料理になりますね?


はい

最近では内臓もすじ肉もお値段が高いので

鶏肉を、胸肉を使うことが多いですが

ソーセージやサラミ

少し余ってしまったものや

保存期間が長くなってしまって冷凍焼けしそうなお肉

何でも良いのです

そうそう

お肉は塩漬けにして置いておくと

さらにフェジョアーダっぽくなります


そうなのね。


はい

それでもって今回は

乙女のために奮発して内臓とすじ肉を使います

乙女は内臓食べれますか?

そんなこと内臓ないぞうみたいな?

((((((((笑))))))))


フランス系吸血鬼さん?


はい。


笑え無いのですけど?


・・・・・・・・。

私は此のお鍋の中に

お豆さんだけではなく

玉ねぎ、じゃがいも、ピーマン、ニンニクを入れて煮込みます。


良い香りがして来ましたわ

吸血鬼さん

てか?

吸血鬼はニンニクの香りに弱いのではなかったのですか?


それは肉食系

つまりコウモリ族の吸血鬼ですね。


そういえば

私も此の香り

どちらかというと好きです。


では十分に煮込まれましたのでいただくとしましょう。


でも

私、こんなに沢山食べれるでしょうか?


大丈夫です

余ればフライパンで焼いてチーズを乗せて

ブラジル系のお料理ですのでタバスコも合います。


ではロマンさん

いただきますわ。


はい

パンの上に乗せても美味しいです。


「いただきまーす」

「いただきまーす」



ブラジルへ行ったお友達に教えていただいたお料理を

今回は、

街の片隅の吸血鬼(織風 羊)

で主演男優と主演女優を務めていただきましたロマンさんと乙女さんにご紹介させていただきました。


これぞまさにブラジル流、食べる物に捨てるものは無い!

(自分で言うか)


では皆様も

召し上がれー!

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