声なき叫びを聞け

声なき叫びを聞け

日も夜も問わず鳴り響く爆音

見境なく人々に降り注ぐ轟音

お前達は何を考えている？

そう―お前達だ

真顔で状況説明をする首相達

『我々はウクライナ侵攻を開始した』だ？

『ロシアによる攻撃で犠牲者が多数』だ？

お前達は何を考えている？

なぜ、義務の二文字を面（つら）に貼りつけて平静を保った表情でいられる？

本当はこんなことしたくない―少しでもそう思うなら、悲痛の表情を浮かべてみせろ

お前達の指揮下にいる人々の

声なき叫びを聞け

夜闇を切り裂く異様な閃光

日光を覆い隠す不穏な黒煙

お前達は何を考えている？

そう―お前達だ

唯々諾々と争いに加担する軍人達

『国を守るために攻撃する』だ？

『国を守るために迎撃する』だ？

お前達は何を考えている？

なぜ、疑いを持たずに冷静な目をしてミサイルだの何だのを撃ち込める？

罪もない人々を巻き込みたくない―少しでもそう思うなら、反抗の思いを表に出せ

お前達の攻撃下にいる人々の

声なき叫びを聞け

噴き上がる悲鳴

意味もなき犠牲

貴方達は何を考えている？

そう―貴方達だ

意思とは無関係に戦火に巻き込まれた子供達

『爆音で目が覚めた』

『友達に会いたい』

『何でこんな目に遭うの』

『もう戦争は嫌だよ』

『普通の生活に戻りたい』

子供達が求めるのは領土利権じゃない

子供達が求めるのは経済制裁じゃない

普通の生活だ

家族との生活

友達との生活

平和な土地に住む我々からしたら『ありふれている』としか言い様のない

それでも確かに幸せな、普通の生活だ

子供達が求めるのは普通の生活なんだ

国際大会の場を通して反戦を訴えるスポーツ選手たちのように

私は大きな叫びを上げられるわけではない

詩という小さな場でしか声を上げられない

でも私は

貴方達の声なき叫びを聞きたい

貴方達の声なき叫びを伝えたい

私達は何を考えている？

私達は何を考えるべきだ？

誰かの声なき叫びを掬い上げるために

私達は何ができるのか？