最終話 今晩もポンコツ寮は大騒ぎ。
「え? それってどういう意味で?」
「どうしたのよ。きょとんとして」
「いやいや、今までは母屋の風呂だっただろ」
「ああ、今日は私と
「は、はい? 貸し切りって」
「そのままの意味だから気にしないで」
与えられた理由を問うた
貸し切りと可愛い素振りで返されてしまえば反応に困るのは仕方ないのかもしれない。御年四十七才の母が年甲斐もない素振りを示せば。
そんな
「呆けてないでお風呂行こう、お風呂!」
「お、おい!? 俺は行くだなんて一言も」
「
「(全員でお風呂、それってそういう事?)」
楽しげな
§
脱衣所に到着すると
「洗濯物だけは別の篭に入れてね。洗うのは母屋の洗濯機だから」
バスタオルだけを身体に巻きつけ背後に佇むパンイチで呆然な姿の
「ええ。分かったわ、ところで」
「どうしたの?」
「ううん、何でもない・・・(あの篭に入ってる物ってそういう事よね? まさか、示し合わせているなんて事はないよね?)」
この時、
一方の
(脱衣所が薄暗い。風呂場も薄暗い。一体、これから何が行われるんだ?)
異様な気配を風呂場から感じてパンツが脱げないでいた。このまま脱兎の如く脱衣所を出て行くのもアリだろうが言い知れぬ殺気が風呂場から届いてきていたため、その場から動けないでいた。
すると
「脱がないなら脱がせるよ!」
「お、おい!?」
あっという間に
その一瞬の芸当に
(薄暗い中でも見えたんですけど!?)
内に秘めた思いはともかく、
§
一方、母屋の風呂場では、
(
競泳水着の
(これはこれで、エロいっす。
否、そうでもなかった。色々な意味で元気が出ている
だが、何故
(先ほど、一人の寮生と会話していたな)
そこで何らかの約束を取り付けたのだろう。
(選ぶなら
部品問屋でも欲する部品を卸してくれるのに、恋愛事だけは思うように行かないと思う
§
そんな両親の思いとは裏腹に──、
「
「いえいえ、私が洗って差し上げます!」
「背中は私が洗います!
「
「流石は委員長ということでしょうか?」
「今は委員長関係ないから!」
ギュッと目を瞑る
スポンジを持つのは
「そんな洗い方したら、
「私は大丈夫と聞いておりますが?」
「
「子供の頃のガリガリと今は別ですぅ!」
「(なんだこの騒ぎは普通に身体洗いたい)」
そんな三者の様子を湯船に浸かって眺めるのは、笑顔の
「元気だねぇ。混浴案を提案した
「そうですね。何を思って提案したのか分かりませんが」
「
「私は仕える身ですから」
「ふーん。てっきり一緒に交わると思った」
「ここに
「え? 真っ当な認識を持ってる人もいた!」
「バカにしてます?」
「全然」
薄暗い湯船でバスタオルを端に置いた二人は目の前の騒ぎを肴に、別の意味で騒いでいた。
なお、この混浴騒ぎには
「それで
「さぁ? 呼んだ時には居ませんでしたが」
「え? 居ないって?」
直後、右隣にある低温風呂からぶくぶくと泡が溢れてくる。きょとんとした
そこに居たのは、
「そこは私の席です! 洗うのは私ですぅ!」
左手に竹の棒を持った
のそのそと湯船から出てきた
「洗うのは私の仕事です! 皆さんは皆さん自身で身体を洗って下さい」
「「「えーっ!?」」」
「(い、一体何が起きてる、は?)」
「す、すまん。俺、あがるわ」
「ちょ!? ちょっと待っ」
「「わぁ!」」
幸い、
そんな様子を示された
「事故とはいえやっちゃったね、お兄ちゃん」
「これは
倒れた二人を呆然と見つめるのは
「
「あらあら、やだわ。
「兄さんとの関係があるのにやるねぇ
五人の言い知れぬ視線を受けた
「(ど、どういう状況だこれ? 唇に何か)」
立ち上がろうとして異常に気づく。
この時の
立ち上がろうとして色々と見てしまい、
「わ、悪い。だ、大丈夫、かぁ〜」
フラフラと鼻血を垂らしながら
「え? ちょ、ちょっと、え? ど、どういうことぉ!?」
唯一、
「それはいいから! た、タンカ用意して」
「え、ええ、
「分かった、
「は、はい、ただいま!」
そんな四人を湯船で眺める呆れ顔の
「お兄ちゃんも興奮し過ぎて限界だったんだね。最後の最後で
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