第21話 お食事会と泥酔事案。
両親の再婚。
それを知らされた三人は微妙な空気の中、
「このムニエル旨いなぁ」
「そ、そう。ありがとう」
「こんな料理を毎日って羨ましいね?」
「だな。店長が羨ましいぞ」
「う、羨ましい・・・」
受け流した
「お、おかわりどう?」
「頂こうか」
それは端から見たら熟年夫婦の姿だった。
「それこそ、お嫁さんに欲しいよね?」
「お、およっ!」
狼狽えた
「このおかずなら捗りそうだ。凄い旨い!」
「おかっ!」
普段家に居る時の
「お兄ちゃんもご飯が進むね!」
「好みの味付けだから何杯でもいけるぞ!」
一方、
「なんだぁ〜。そっちの意味かぁ〜」
「なんだと思ったの〜?」
この時の
兄が大好きという一面では負けないとも思っているが。
「き、聞かないでもらえる、かな?」
「そういう事にしておこうかな〜?」
真っ赤な顔と楽しげな顔。義姉妹となる事が決まった二人は
「「ぷっ!」」
「どうしたんだ?」
「「なんでもないよ」」
「そうか?」
実に相性の良い関係だ。これが
その後の三人は和気藹々な雰囲気のまま夕食を食べ終えた。後片付けは
「これからは姉さんって呼べばいいんだよね」
「そうなるかな。私も兄と妹が同時に出来て嬉しいし」
「でも本心としてはどうなの。複雑なんじゃない? お兄ちゃんの事が大好きなんでしょ?」
「さ、さぁ? それは、どうなのかなぁ?」
「誤魔化してもバレバレだよ?」
「うそっ・・・バレバレだった?」
「やっぱり大好きじゃん。カマかけて正解だった」
「あっ!? やられたぁ〜!」
洗い物を行いながらの恋バナ。
女子会の雰囲気を漂わせ、皿を拭く
「実際にはどうなの? お兄ちゃんってかなり鈍感だけど」
「ど、どうって言われても・・・」
グイグイ攻める
普段の積極性が消えた
面と向かって言葉に出すのは
すると
「多分だけど・・・今日初めて女の子として認識したんじゃない?」
「そ、そうなの?」
「胸元をあえて見ないようにしていたし」
「あっ・・・そういえばそうかも」
「ムッツリってわけではないんだけど、目に見える刺激は無意識に見ないようにしてるから」
「に、苦手って事?」
「そうでもないよ。私で免疫が付いているし。寮内も裸族が沢山だしね。あれも前の学校で何かがあったんだろうね?」
「ああ、以前・・・愚痴っていたかも」
「知ってるの?」
「さわりだけね・・・詳細は知らないけど」
それは
「肉体接触ならどーんと来いって感じだけど」
「確かに。言葉も気にしていない感じだし」
「自発的にセクハラしたりね?」
「相手によるけどね。気心知れた者だけだし」
「ふーん。例えば、義姉さんとか?」
「う、うん。そ、そうなる、かな?」
その後の
質問は姉妹になるなら隠し事は無しという
逆に
(血縁があるのにそこまで望むの? さ、流石に最後までは望んでいないみたいだけど・・・)
§
しばらくして
隣には
「籍を入れるのは週末だからよろしく!」
すると
「すまん。酔ってるみたいだから・・・泊めて貰えるか? 運転は代行が行ったみたいなんだが、あそこまでベロンベロンは初めてなんだ」
「か、構わないけど、何があったの?」
「会合・・・いや、実は今日、実家に挨拶してきたそうで、その際に
「はぁ? な、何であの家が?」
「わからん。今や無関係なのに再婚は許さないと言ってきてな。今回、初めて呼び出しを受けたんだと。再婚するなら
「何それ!?」
「最後はおばさんの遺言・・・『娘の母は親友である
「・・・(意気投合も親の子ってかぁ)・・・」
それは子供の知らない親達の関係だった。
ただ、
ただそれも──、
「まぁ・・・酒が飲めるようになるまで預けるという条件付きになったらしいが」
相手に読まれていた。
「え?」
「婚約者だよ。それまでは未成年として預けるって意味だ。力ある家の子は本人の意思を無視して関係構築に使うと、示してきたって」
それを聞いた
「どういう事よ!? 相続放棄してるのに」
その声は奥に居た
「それはそれって事だろ。だが、母さんもただでは転ばないから最後は言質を取ったんだと」
だが、苛立ちが最高潮に達した直後、
「げ、言質?」
「
「はぁ?」
その言葉を聞いた
「そんなのは無理に決まっていると鼻で笑ったそうだがな。自分達が用意しないと見つけられないとまで・・・決めつけていたらしいから」
「し、失礼過ぎる・・・」
「御令息の価値観のままなんだろ。母さんの大失敗まで
すると
「器の小さい男。
小さいと思われても仕方ない価値観の持ち主だ。大失敗した事まで持ち出されれば
「その・・・本人も毛嫌いしているからな。休暇時に実家へ帰ろうとしないのもそれが要因だ」
「だから母さんを慕っていたのね・・・自由な恋愛に逃げたから。ツーリング仲間だった父さんと結婚したのも駆け落ち婚だって言ってたし」
「ウチの駆け落ち婚は大失敗だけどな。あんなクズと何処で知り合ったんだか・・・」
息子から見ても知り合うきっかけが理解不能になるクズだった。
すると
「まぁ、そういう事だから・・・今後は父親としてよろしくな!」
少々気恥ずかしそうに右手をあげた。
「そ、そうですね。妹共々よろしくお願いします」
「堅いなぁ。いつも通りでいいぞ?」
「そうですか。では・・・よろしくっす!」
「そうそう。それでいい。娘共々よろしくな! まぁ
「と、父さん!?」
「は?」
「ああ。来年の春までは無理だったか・・・すまんすまん」
「そういう意味じゃないから!?」
「父親公認か・・・良かったね? お兄ちゃん」
「どういうこった?」
一人理解不能を示す
外堀を埋めている事実を相手に隠して。
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