第20話 女の勝負と驚愕の連発。
その後の
二人を出迎えた
「いらっしゃーい!」
そんな
「は?」
「
「どう、似合ってる?」
「似合ってる! お兄ちゃんも何か言ったら?」
呆然と佇む
「お、おう。びっくりするくらい似合ってるな・・・(胸、有ったんだ)」
「ありがとう。気合い入れて正解だったね!」
「準備は出来てるから上がって」
「「お邪魔します」」
普段から出入りしていた
「あれ? この写真・・・(
それは一人の女性を描いた絵画のような写真だった。描かれている女性は笑顔の
すると
「母さんの納骨時に貰った写真だね」
きょとん顔の
「の、納骨?」
「母さんが昨年末に亡くなったから」
「何か聞いたら不味い話でした?」
「気にしないで。それよりも、そこに座って」
テーブル下にはお茶も用意されており、
「はい。お茶」
「おう。サンキュー」
コースターの上に置きストローで一口頂いていた。
「あ、ありがとうございます」
先輩を相手するような態度に戻った。
否、先輩であると思い出したようだ。
「
「い、いえ」
その間の
「・・・ところで
「んあ?」
「
「何の事だっけ?」
「話してないの?」
「えっと・・・あぁ!? おばさんの事?」
「やっぱり。それで納得がいったわ〜」
当の
それは母親の事。今回も訪れる前に話しておいてくれと念押しした話だ。
すると
「えっと・・・何の事ですか?」
「写真の事ね。まぁ・・・これだけ大きな写真が飾られていれば気づくなって方が無理だけど」
「あっ・・・」
「改めて打ち明けるとね。私と
「だから・・・
「それは知っていたんだね。
空気はどんより重くなる。
話し忘れていた
「昨年・・・母さんが病気で亡くなって、葬儀に
すると
「あっ・・・もしかして?」
「気がついた?」
「家に縛られる事を望んでいないんですね?」
「
「ぐっ・・・」
「あぁ。お兄ちゃんも絡まれましたもんね。幸い、婚約の話は母さんのお陰で回避しましたけど。あれも母さんが交渉しなかったら
「あらら。おばさんには感謝しかないね?」
「そうだな。母さんには頭が上がらないよ」
というところでこの話は終わり、三人の勉強会が始まった。重たい空気は一気に弛緩し、
「範囲が狭くて助かるわ〜」
安堵のため息を漏らした。
「県立って何処から何処までだったの?」
「一年次しか分からないけどいいか?」
「うん。それでいいから教えて?」
「
「う、うん」
「ここから・・・ここまでだな」
「「は?」」
それは余りにも広すぎる範囲だ。
二人は目が点となり
「各科目でこの範囲だろ? 試験では何処が出るか分からないから、試験期間の教室は真剣味が凄かったわ〜。一教科でも落とすと全教科の補習だったからな・・・休みが無くなるって事で避けたいとする者が多かったわ」
「そ、それをお兄ちゃんは?」
「バイトと親父の面倒を見ながらだったから、何度死ぬ〜って思ったか。次席を維持するのも楽では、無かったな・・・」
「それなら普通に・・・あ、奨学生だったから」
「そういうこった。逃げ道は最初から無かったんだよ。今では親父が失踪してくれたお陰で助かっているが」
「
自分が一番苦労していたと思っていたが、上には上が居ると改めて知った
そして勉強会は終わり──、
「出来たよ〜。こっちきて〜」
だが、声を掛けられた兄妹は呆然としたまま
「ひ、
「どうしたの? 二人して鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして?」
「
「は? どういう事よ?」
「母さんから再婚しますってメッセージが飛んできたんだ。嫁入りではなく婿入りだそうだが、次男だから問題ないって・・・どう思う?」
「え? ま、待って? どういう事よ?」
「
「ふぇ?」
寝耳に水とはこの事か。
幸いなのはエプロン姿のまま何も持っていなかった事だろうか。
§
一方、再婚の報は〈みなと寮〉にも届き──
「委員長のお父様が母屋に住むって!」
「なんですってぇ!」
「委員長が義妹になるって」
「はぁ!? どういう事よ?」
リビングで寛ぐ
「そうきたかぁ〜。裏技といえば裏技だねぇ」
「
「知っているも何も、亡くなった叔母さんの御主人が再婚したってだけだからね。娘である
「は? 叔母さん?」
「そ。叔母さん。私の部屋に絵があるでしょ」
「「あっ」」
その報を受けて二階の
だが、二階は相変わらず裸族が跋扈していた。
「裸族共は中間試験の後から身形に気をつけなさいって。旦那様は年齢が年齢だから反応はしないそうだけど、男には変わらないからって」
「!!?」
例外は
「
「た、確かに異性の目があるのと無いのとでは気持ち違いますものね?」
「校内の延長と思えばいいしね。脱ぐのは自室とお風呂だけという事で」
「廊下で彷徨くのも禁止にしないとね?」
「罰則を設けてもいいかもね? 私に脱がされた
「真っ先に罰を受けそうな人が何か言ってる」
「私は自室とリビングとお風呂以外では脱がないもん。同室に忘れて晒す人は居るけどね?」
「うぐぅ」
お嬢様達は引き
今後の生活改善を示されたような物だから。
但し、半裸でマッサージを受ける
すると今度は、
「あ、続報が来た。何でもバイク屋の店長さんで水曜日が定休日。それ以外は七時から二十一時以降しか母屋に居ないから、気を抜くのは居ない時間帯だけにしなさいって。九時から十八時の間だけ開くカーテンの範囲以外なら問題ないみたい。ただ、一階玄関に半裸で現れたら自己責任とも言ってるね?」
それを聞いた上級生達は怯んでしまった。
「緩む時間を持たせて」
「気が緩んだら自己責任」
「鬼だ。鬼が居るわ」
話の締めはバスローブを羽織った
「それだけ今までが緩み過ぎていたもんね? 特に相手を探しまくっている先輩達が・・・」
「ぐっ・・・」
寮内の力関係で言えば
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