第17話 スキンシップと一喜一憂。
「授業は男女合同なのかぁ〜」
「プールの授業以外はね。一年は体力作りで、二年からは合同で出来る授業となるの。私は
「その一言はもう少し育ってからな」
「育ってるよ!? ほらほら!」
「ストレッチ中に押しつけるなよ!」
「育ってないって言ったからでしょ?」
転入の翌日から自身の方針を転換した委員長こと
その距離感はバイト先と同じようだが。
しかも男子のクラス委員が行うような事も気にせず請け負った。それは更衣室への案内だったり、更衣室から体育館への移動だったり。
元々、親友同士の付き合いがあったため気にしていない
「はいはい、交代」
「あ、ブラホックに注意してね?」
「へいへい。相変わらず柔らけぇ身体だな」
「おっぱいも柔らかいよ?」
「分かったから腕を掴むな! あてがうな!」
「それなら、お詫びとして次のツーリングは温水プールへ一緒に行こう? 行かないって言ったらもっと押しつけるけど?」
「い、行くから、だから腕を放せ!?」
「やった! 絶対だからね?」
この時の
今の二人はストレッチを交代で行っており、その姿を見るクラスメイト達は一様に目が点となる変化だった。
「あんな笑顔で笑えるんだ・・・一体、いつデレたの? 委員長に一体何があったの?」
「私が知るわけないでしょ?」
「胸を触らせてる・・・一応、胸が有ったんだ」
「反応するのそこ!?」
男子達も同様に見惚れている者が多かった。
「よく見れば可愛かったんだな」
「
「そ、そんな事、やってみない事には・・・」
「やる前から決まってるでしょ?」
「初っ端からあしらわれていたし」
「見事に投げ飛ばされていたし」
「あれは俵返しだったような?」
「あ、あれは事故だ! ただ胸が無いって言っただけじゃないか! それで投げ飛ばされて」
「セクハラした時点で無理だろ?」×4
「ぐぬぬ」
彼らからすれば背後に立つ
一年前から付き合いのある
四月生まれの二人は夕方の教習所で出会い、意気投合した。
思い思いに準備運動を行っていた者達は教師の一言で一カ所に集まった。
「全員集合!」
授業は男女混合バスケットボール。
男子は全員で六人おり、二十五人の女子の中で一人から二人の男子が組み込まれる。
五人チームで一人があぶれる事になるが。
「やった! 同じチームだ!」
「私も同じチームですね」
「ほどほどで頑張るかぁ」
各チーム分けは教師が事前に決めており、
一方、男子達の目論見は見事に潰え──
「くそぉ・・・離れたぞ」
「
「そうそう。離れたなら対戦で負けさせたらいいから」
「見るからに運動音痴っぽいしな」
「猫背で戦えると思ってるのかね?」
「その眼鏡、今度こそ叩き割ってやらぁ!」
四人の女子に囲まれる
「え?」
「ナチュラルにそれをやるって・・・顔を隠してる自覚ある?」
「何のことだ?」
本人は至って無自覚らしい。
これも
幸い、男子には気づかれていないため、
「いや、何でもない・・・(そういえば、女子はともかくって言ってたっけ。これは競争率が高くなりそうだな。ツーリングの時にでも既成事実を作るしかないかな?)」
そう、
「どうした?」
「
「当然だろ?
「当たり前でしょう?」
二人の間は名前呼びの事もあって、誰もが割って入れない雰囲気となった。未だに名字呼びか呼ばれて居ない者は羨ましいという表情で聞きに徹していたが。
その内の一人・・・別チームとなった
(な、仲良さげにして・・・羨ましい!)
両手で持つボールが潰れてしまうほどの圧を加えながら。ボールは圧に耐えかねて明後日に飛んでゆき、同チームの
「
「は? ぐほぉ!?」
「先生!
「保健委員! ストレッチャーを用意して保健室に連れて行って!」
「「はい!」」
「
「は、はい!」
「どうせ、やらしい目で見てたんでしょ?」
「
「あれはどう見てもノーブラぽいけど?」
「埋もれている事が幸いかしら?」
「やだやだ。このクラスにまともな男子は居ないの?」
「まだ見てるわ・・・」
事実、
「相手の技量が分からないから、序盤は流していいよな?」
「
「それで問題ありません。でも、隙があればゴールを狙って貰っても構いませんよ?」
「まぁ・・・俺が居る場所が場所だから、やることがなさそうだけどな」
「でも、油断はしないで下さいね?」
「そうそう。
「ええ。私を含めて十人はバスケ部のレギュラーなので油断大敵です」
そう、
「そ、そうか。うん。気をつけるよ」
その後、保健委員が戻ってきたタイミングで教師から声が掛かる。
「では試合を開始する!」
最初は
「
「うぉ! しゃーねーな」
「真横からのスリー!?」
それはゴールがギリギリで見えるか否かの位置だった。胸の揺れる
「そんなの入る訳が・・・入った!?」
「ナイス!
「それはいいからディフェンスに行けって!」
「別にいいじゃん! 喜んだって!」
教師は流れるようなフォームを見て何度か頷き経験者だと悟る。女バスの面々は
今も
「急に本気になりやがった・・・大人げないな」
「
「
「なるほど、だからコーナーからのシュートが出来たのか。ほぼ死角だったのに・・・というか小林さんとどういう関係なの? 名前を呼び捨てしているけど?」
「・・・(
楽しげな会話を繰り広げていたのだから。
別チームの面々も羨まし気な様子で見守っていた。逆に
「というか、
「名字だと堅いなぁ〜。私も
「じゃ、じゃあ、ゆ、
「さん付けかぁ。まぁいいか・・・何かな?」
「な、何故にノーブラなんだ?」
きょとん顔の
「あっ・・・うっかりしてた!」
「うっかりでノーブラって頻繁にあるのかよ」
「私の中では頻繁にあるね。まぁ・・・ご褒美という事で」
「なんのだよ!?」
「私達から得点を奪ったっていう? この際だから・・・」
「Fカップのおっぱいだよ。じっくり見て!」
「・・・(このお嬢様。残念、過ぎる)・・・」
なお、
お呼びではないという雰囲気が女バスの面々から溢れていたからだろう。ただ、反対側で会話していた
(アイツばっかり羨ましい!?)
両隣で試合中の男子達も同様に・・・。
(((羨ましい!?)))
周りの女子達からすれば試合に集中しろと言いたげな視線だった。教師も男子の行動には気づいており名簿に何らかのメモを記していた。
「
一応、
男子達の視線は常にノーブラの
それは
「私のおっぱいよりも飛んでくるボールを見たらいいのに。男子の株が急落してるね〜。買いは
「それで、お嬢様のブラは何処に?」
「た、多分、更衣室?」
「一人で着られるようになりたいって自分から申し出て、今日だけは手伝ってなかった事が悔やまれますよ」
「あはははは・・・それはそれって事で」
「流石に・・・下は
「あっ・・・は、
「これはあの日でなかった事が救いかしら」
眼鏡を外してタオルで汗を拭う
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