シェアハウスという、世界の縮図のような場所で暮らした作者による回想録。とまどったり驚いたり、笑ったり、そして切なさを感じさせられたり。さまざまな人間と触れ合う中で色んなことを経験する主人公の姿が生き生きと描かれています。
特にスポットを当てられているロシア人とウクライナ人の女性。彼女たちの仲良く微笑ましい様子が優しい回想で綴られているだけに、今の現実へ立ち返った時、より重たさや悲しみを感じすにいられません。
色んな国の人達の中で祖国を背負うこと、自分の考えを持つことについても考えさせます。国同士のしがらみを軽々と越えて共に暮らす若者たちの姿に、まさに国境のない世界を見たような気がしました。
舞台は様々な国の人たちが集うシェアハウス。
文化の違いに驚くこともあれば、案外自分に似たものを感じることもあります。
たくさんの出逢い、交流、戸惑い、驚きの連続。
きっと、ものすごく勉強になる経験が詰まった日々なのだと思います。
そんなシェアハウスで「ナオ」が出逢ったのは、住人のロシア人女性と、彼女が連れてきたウクライナの女性。
二人がロシア語でダーダー言い合う光景が、ここの日常になります。
今、この時だからこそ、二人のことを思い出さずにはいられない…
「ナオ」の優しさや切なさが伝わってきます。
異国の人たちと接するときに、国境線は必要ないのだと、しみじみと感じさせてくれる素敵なエッセイです。
青い空が繋ぐあの国へ、思いを馳せずにはいられません。