第411話 貧乏という言葉の暴力性 1

参照テキスト

https://kakuyomu.jp/works/16818093074870825076/episodes/16818093077101825938

↑ カテイのクサビ 第23話 うちは「貧乏」だから


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今生より

賀来博史 氏 談


 その話は私も高校時代に米河君から直接お聞きした記憶があります。

 当時はまあ、そんなものかな程度の認識しかなかったように思えましたが、どうやら作家として軌道に乗り出したためか、そういうところまできちんと検証できるレベルに達してきた模様ですな。

 私から見て彼らしいなと思えるところは、この点です。

 金がない という言葉自体は、客観的な状況を述べているに過ぎないという指摘があります。これに対して 貧乏である という言葉は、単に金がないという状況にとどまらない恐ろしさを秘めた言葉であるとのこと。

 なるほどな。あいつらしいところに落とし込んできたな。

 彼を良く知る者のひとりとして、この点を指摘させてください。


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来世から

東  航 氏 談


 あのZ君の短期里親の件、米河君もある程度その増本さん宅とかかわった経験があるようなので、ある程度第三者としての目を踏まえつつ、彼の経験をベースにいかにも自らの経験であるかのような形式で書かれておりますな。

 確かに、あの当時のよつ葉園において、児童指導員の尾沢君あたりがよくその金がないという言葉を述べておったようですが、そんな人間は金があったところでまともなことなどできないという指摘、もはや今生を離れ久しい私にとっても、耳の痛い言葉です。

 さすがにその増本さん宅の母親の言動を「虐待」とまでは定義していないようであるが、今どきのことであるから、一歩間違えればそれこそ「言葉による虐待」と言われても仕方ない側面があるようにも思われてなりません。

 彼女は別の場面で「口の暴力というのもある」ともっともらしく述べたと言われていますが、そういう彼女のその言葉自体が「口の暴力」だろうがと、米河君は明言こそしていないが、そのような意識で述べているのではないかな。

 

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