第58話 宇佐美一花さんからのメッセージ

これは、今日の先程、姪にあたる宇佐美一花が申していた内容を、叔母である私、賀来のどかがまとめたものです。


 米河さんのお話、叔母を通してお聞きしました。また、2008年の夢のお話につきましては、先日叔母から言付かった文章を拝読しております。

 私は宇佐美一花と申しまして、賀来博史の姉の娘になります。

 幼少期より障害を追っており、養護学校卒業後は、作業所にて毎日仕事しつつ、小学生の頃から習っていた絵の世界に入り、現在、画家としても活動しておりまして、先日は神戸市内で個展を開きました。


 米河さんの姪御さんは、私より数歳若い方のようですから、ほぼ同世代ということになります。叔父の賀来博史と私の関係が、米河さんと姪御さんと同じような感じになるみたいですね。

 私は幸い、車いすで移動できますが、自力歩行はほぼ不可能です。障碍者という点では米河さんの姪御さんと同じ要素を持っていますが、米河さんの文章と叔母からの話を通してお聞きしただけですけれど、私よりもむしろ、その姪御さんのほうが、何やらとてつもなくすごい能力の持ち主のように思えてきてなりませんでした。


 確かに私は、叔母の申す通り、壊れかけの機械を直す程度の「念力」のようなものと言いますか、そういう力、あるみたいです。現に、これはもうどうにもならないかなと思えた機械が、それでいくらか持ったことも、ありました。

 子どもの頃は、私が不思議な力を持っていることを知った両親に頼まれ、祖父の頃から使っていたテレビを直してくれと言われ、一通り罵声を浴びせて叩いたら、確かに、映りがよくなったこともありましたね。

 最近、スマホを使ってネットで調べたところ、その頃のブラウン管のテレビは、そうして叩くことによって、真空管の静電気が放出されて、もしくは、はんだが外れかけていたのが衝撃で接触することによって映りが良くなるということもあり得た、という趣旨の記事が出ていました。

 ただ、科学的に言えばそういうものだったのだと言われれば、確かにそういうものなのかなとも思うのですが、私の父に言わせれば、モノにも人の心があるとまではいわないが、モノも、人を選ぶところがあると思うぞ、などとのことで、私は、治して長生きさせてくれる人物であると、モノから選ばれた人間なのではないかと、子どもの頃から父は、そんなことをたびたび言っていましたね。


 そうそう、養護学校にいた頃にも、誰からともなくそんな力があることを知られたようで、と言っても、これは機械がどうこうというわけではないのですが、誰かが作ったてるてる坊主に、

「あんた、明日雨降らせたら火あぶりやでぇ~」

と笑いながら言ったところ、天気予報では雨だったようですけれども、雨が降らないどころか、からりと晴れたこともありました。


 非科学的とも思えますけど、そういう経験をいくつかしていますと、そうとばかりも言えないような、そんな気もしています。

 それから考えるに、米河さんの姪御さんは、私以上に、何かすごい力を秘めていらっしゃるような気がしてなりません。

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