第56話 賀来まどかさんからのメッセージ 1

米河さん、はじめまして。賀来まどかです。

父より、いろいろとお話は伺っておりますが、こうしてメッセージをお送りするのは初めてです。どうぞよろしくお願いいたします。


昨年、父が選挙に出る前から何度かお会いされていて、父といろいろお話していたことを、昨年より断続的に父を通してお聞きしております。

何でも、松田聖子さんのファンで、60曲以上は今も歌詞なしで歌えるとか、毎週日曜日の朝は携帯電話の電波も一切切ってプリキュアに集中しているとか、いろいろと面白いおじさんであると,父は申しております。

父や米河さんが学生の頃は、まだ少女向けのアニメを見る大人の男性というのは相違なかったようで、父は、米河さんがセーラームーンにはまって熱心に見始めたことを聞いて、なんだかすごいインパクトがあったと申しておりましたが、その後「大きなオトモダチ」という表現で、そういった人たちのことを指すような時代が来て、今に至っているようですね。

私自身は2004年11月の生れですので、生まれた頃にはすでにそういう大人が普通に存在していたことになるのでしょう。ですから、米河さんの書かれた作品を読んでその点のことに触れられていても、また、父からお話を聞いていても、それほど変な感じはしませんでした。現に、私の高校の同級生にも、そういうアニメの好きな男子生徒は何人かいますし、中には、米河さんのような鉄道ファンの人もいますから。


私の従姉にあたる宇佐美一花は現在20代の半ばですが、子どもの頃から絵が得意で、芸術系の大学に行ったわけではありませんが、作業所に勤める傍ら絵を描き続けてきて、このところ、何度か個展を開けるほどになりました。

私自身は子どもの頃から何度か一花さんとお会いしていて、一緒に遊んでいたりもします。ですから、米河さんほど強烈な体験をしたことはありませんけれども、私や両親と比べてみても、確かに、感受性の強いところは子どもの頃から何度も見受けられました。


何と言っても、調子の悪い機会に向かって、「あんた、もう捨てるで」とか何とか言ってポンポンと叩いたら、それで直ったとか、そんな話も聞いたことがあります。まさかそれは本人の自主申告だから話を持っているのかなと思いきや、数年前、確か中学生の頃に一花さんがうちに遊びに来た時、パソコンの動きが重くなったときに、私に任せてというが早いか、パソコンに向かって一言二言悪口とも何とも言えないことを言っていると、なんと、動きが少しずつ良くなってきました。

そのときは確か、モノクロのプリンターで何か印刷していました。忘れもしません。父に頼まれて、米河さんのブログを印刷してくれと言われ、それではということで印刷しようとしたら、幾分調子が悪かったようで、ちょうど居合わせた一花さんが、あんた、ええ加減にせえよ、とか何とか言いながらあれこれやっているうちに、なんとまあ、きれいに印刷できるようになりました。


そんな経験もあるからか、米河さんの夢のお話は、さしてびっくりというわけでもありませんが、それでも、何だか怖ささえ感じさせられました。特定の親族からそこまで注目されているというのも、何だか不思議な気持ちにさせられますね。

さすがに私には、これまでのところ、夢の中に一花さんが出てきて難問を聞かれたとか、そんなことは、一度もないです。

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