第21話 そもそも、鉄道の歴史とは

 ある時、家庭教師で教えていた生徒さんの母上様、と言っても私より1歳だけ年上のおねえさん、ってことになるのですけど、その方のブログで、「世界水の日」というのがあることを知らされたことがあります。


 その記事を読んで、ふと、思ったこと。


 ところで、鉄道の歴史というのは・・・?

 火を排除し、水を節約することで進化してきたのではないか。


 ってことです。


 なんでこんなことを言うかと申しますと、この作品で舞台とした「食堂車」というのは何なのか、ということ。まさに、火の気があるものを使うし、水だって半端なく使わざるを得ないではないですか。飲み水としても、食器洗浄でも。


 そうなるとどうかと言えば、それだけ、その車両の走行時の重量が重くなりますわな、ってこと。そればかりか、火災の原因となりかねない機材をただでさえ設置していて、しかも大いに使わないといけないと来たものですから。

 それゆえ、電車であれ気動車であれ、食堂車に走行用の動力をつけた例はあまりないわけね。

 ~ トワイライトエクスプレス端風は、「キシ」となっていたから、走行動力をつけているようだが、これは、調理器具が昭和期よりも格段に進歩して総重量を重くしなくても済むようになったことと、何より、乗客の過ごす寝台車に走行動力を置くわけにはいかないという事情も、大きく作用しています。


 ちなみにこの181系気動車も、食堂車は「キサシ180」。

 走行用の動力は、つけていませんでした。

 ただし、その他の車両には1両につき500馬力を出せるエンジンが搭載されておりまして、急こう配などにも対応できるような設計がされておりました。

 伯備線は、かなりの山越えがありますからね。


 だけどまあ、その、食堂車なんて、結構揺れながらの食事となることもままあったようで、食堂車に乗られた先輩のお話では、揺れて紅茶が半分ほどこぼれたようなこともあったとか。そりゃあ、急停車なんかしたら、調理室の冷蔵庫から食材が飛び出したりとか、そういうこともあったらしいですよ。そうならんように、いろいろな工夫もされていたようですが、ここでは省略します。


 飲み食いする側は、旅の気分がしっかり味わえて大いに結構であったけど、食堂車で調理や接客をする側は、実に大変な重労働でした。そのあたりのお話についても、いろいろな本で当時の様子が語られておりますが、それについてもここで述べだすとキリがないからやめておきます。


 最後に、一言。

 食堂車ってのは、火も水も使うわけですから、廃止や縮小の方向に向かうのは、確かに、必然であったと言えるでしょうね。


 

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