第15話 料理飲食等消費税。略して、料飲税のこと。

 このお話に出てくる「料飲税」というのは、1950(昭和25)年に都道府県民税として運用されることとなった遊興飲食税が1961(昭和36)年に改称された税法のことです。

 言うなら、「ぜいたく税」ってことですな。

 これは飲食、宿泊において1人当り一定以上の支払金額になると課されていたもので、1988年時点では飲食において2500円以上になると、10%が課されていました。これは1989年の消費税導入とともに免税点が引上げられ、しかも3%に税率が引下げられました。


 まあそのね、1人で酒飲むくらいのことであれば、そうそうこの税金を気にすることもなくなったわけですよ、消費税の導入で。

 結局この税法は、2000(平成12)年に廃止されました。

 確か、当時の消費税率は5%のときでしたっけ。

 その後、消費税は数年前に8%から10%になりましたね。食品類は軽減税率が適用されますが、外食は軽減なしで10%であることは、ご存知の通り。


 よくよく考えてみれば、消費税のおかげで外食の税率がガクッと下がったのが、消費税が10%になった段階で、免税点なしの10%に戻った、ってことにもなるのではと、私は解釈する次第。要するに、ほぼ平成の間には外食産業に「免税」がされていたってことになるわけです。

 あくまでも、この局面から見れば、の話ですけど。

 それはともあれ、昭和のあの時期には、まだ外食というのは贅沢の一つだったようなところがありましたね。それだけ、単身世帯が今ほど多くなく、家庭での食事というのが普通であったというわけです。

 ある意味、平成の期間に外食産業や宿泊業界がそれまで以上に栄えてきたのは、消費税の導入に伴う料飲税の実質的廃止が大きな影響を与えたのではないかと思われるのであります。


 で、この「料飲税逃れ」ってのは、とある全国組織の鉄道趣味団体に以前在籍していた時に、この趣味界ではかなり知られたある先輩から聞かされたお話です。

 要は、会計を何度かに分ければ、税金分は払わなくて済むというわけよ。

 せこい話と言えば確かにそうだけど、ね。

 その方は、何人かと「やくも」に米子あたりから乗車して、多少のつまみとともにひたすらビールを飲みまくり、免税点が近づくたびに、日本食堂のウエイトレスさんに会計をしてもらい、合計3回に分けて「飲み代」を支払った、とのお話を、これもまた酒の席ですけど、お聞きしたことがありました。

 そのエピソードを、この作品に反映させたわけです。


 それにしても、税法の歴史って、ややこしいなぁ・・・。

 あ、ちなみに私は、法学部で税法の講義を受講したことはありません(~いやあ、マジで正直、お願いだから、勘弁してぇな)。

 司法試験にも、法律選択にそんな科目はありませんでしたからね(労働法なら、ありましたよ。私は選択したことないけど)。

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