第6話 正夢

白海家で食事した日の夜、俺はとある夢を見た。


その夢はこの町に戻ってきた日から時々見るようになった。


夢の内容は俺が学校の教室で告白されるというものだ。


しかし、いつも誰が告白してくるのかは分からないのだ。


顔がぼやけたり途中で目覚めたり、まるで意図的に見せられてないかのようだ。


そしてまた、誰か分からず夢は覚めてしまった。


「...............]


「おはよう、お兄ちゃん!」


目が覚めると、さも当然のように琴葉がベットに潜り込んできていた。


「おはよう、琴葉いつも言ってるけどそろそろ俺のベットに潜り込むのは辞めようか」


「いいじゃん別に、お兄ちゃんだって可愛い妹に毎日かまってもらって内心嬉しいんじゃないの?」


こっちは毎日肝を冷やしてるんだけどね。


「そんな訳無いだろ」


琴葉のブラコンのどうにかしないとな。


「そうだ琴葉今度イルカんちに行ってみないか」


「えっ............!」


すると琴葉の顔がみるみる曇っていった。


やっぱり外が怖いのか。


「ご、ごめん今のは忘れてくれ」


「.................ま、待ってお兄ちゃん」


「どうした?」


「わ、私クジラちゃんに会いたい、もちろんイルカくんにも会いたいけどそれにいつまでもこんなんじゃ駄目って思っててだから...........」


そこまで言うと琴葉は泣き出してしまった。


泣き崩れる琴葉を俺は優しく抱きしめた。


「分かったよ、一緒に頑張ろうな」


すると琴葉はコクっと頷いた。


それから琴葉は泣き疲れてしまい寝てしまった。


仕方がないので俺のベットに寝かすことにした。


琴葉が寝てるのを確認して俺は学校に向かった。


「ってことがあったんだよ」


「そうだったんだね」


今朝起きたことをイルカをクジラの二人に話した。


「しろちゃん、私頑張るよ!琴葉ちゃんが頑張ってるんだから私も琴葉ちゃんのために頑張るよ!!」


「僕にもできることがあったらなにか手伝わせてよ」


「二人共ありがとう」



イルカと二人で教室に戻りながら喋っている最中突然、俺の知らないやつが声をかけてきた。


「イルカちょっといいか?今度の大会のについて話がある」


声を掛けて来たのは大柄でガッチリとした体格の持ち主だった。


「.........四葉少し待ってて」


「お、おう分かった」


「で、なにレイジ」


声をかけられたイルカはどこか少し不機嫌になってた。


「今度の大会、俺とダブルス組んでくれ」


「だから、なんども言ってるけど僕はもうバドミントンはやらないし大会にも出ないよ」


イルカってバドミントン辞めたのか?


傍で話を聞いていてふとそう思った。


「頼む、俺はお前と組みたいんだ!俺とお前なら全国だって難しくないはずだ!!」


「も〜しつこいな何度も僕がやらないっていてるのが分からないの?それに今の僕に全国行く実力も志もないよ、大体レンジ全国なんてそうそう行けるわけ無いでしょ。僕達はもう教室に戻るから、行こう四葉」


イルカがキッパリそう言うとレイジの表情が少し強張った。


「ちょっおい待てよ!」


するとレイジはイルカの腕を強引に掴み引き留めようとする。


「や、ちょっと、離してよ!!」


俺はすかさずレイジの腕を振り払い、2人の間に割ってはいった。


「えっ、四葉!?」


「お前、嫌がってる相手を強引に掴むのはどうなんだ?」


「はぁ、誰だお前?部外者は話に割り込むなよ!俺は今イルカと話しんだよ!!」


「イルカはキッパリとお前の話を断ってんだからこれ以上話すことはないだろう、それに元々俺とイルカが喋ってるところにお前が割り込んで来たんだろ、どちらかと言うと部外者はお前の方じゃないのか?」


「て、てめぇ!」


怒りの表情を無に出しにしてレイジは胸ぐらを掴んできた。


「良いのか、お前こんなことして?」


「は、なにがだよ?」


「周りを見てみろよ、今のお前の言動周りの人はなんて思うかな?バド部のやつが

他生徒と喧嘩をしているってことにしか見えないと思うぞ」


「!?」


そこまで言うとレイジは周りを見渡した。


何人かの生徒はレイジが視線を向けると怯えた表情になってしまっていた。


それに気がつくとレイジはすかさず手離した。


「ち、覚えとけよな!」


なんなんだその典型的な捨て台詞。


「あーー疲れた、あいつだる絡みして来ないと良いけど」


「そ、その四葉あ、ありがとう」


「気にするなこんなのどーってことないよ、それにこういうのは慣れてるから、またあいつが来たら俺に言えよなそのときはまた言い返してやるからさ」


「う、うん」


イルカの顔を見ると少し顔をが赤かった。


「大丈夫かイルカ?顔真っ赤だぞ、熱でもあるんじゃないのか?」


俺がイルカの額に手を当たるとイルカは慌てて俺の手を振り払った。


「だ、大丈夫だよ、本当に、心配しないで!!」


イルカの息が上がっていく。


「そ、そっか」


キーンコーンカーンコーン!!


授業始まりのチャイムが唐突になった。


「あ、やべっイルカ早く行くぞ!!」


「あ、うん」


俺たちは急いで教室へと向かった。


授業が一通り終わり昼休みとなった。俺は秋風と飯を食ってた。


イルカと食べようとしたら、他のやつと食べると言われてしまった。


なんだか避けられてるような感じがした。


なにか余計なことをしてしまったのだろうか。


「なぁ秋風、バド部のレンジってどうゆうやつだ」


「いきなりだなーどうしたよ」


「いや、少し気になっただけだ」


「レンジかー俺あいつ苦手」


「秋風にも苦手な奴っているんだな」


「そりゃいるよ、四葉さんは俺のことなんだと思ってるんだね?」


「誰にでもおんなじ態度で接する憎めない馬鹿」


「めっちゃ言うじゃん!!」


「すまん、つい本音が」


「まいいけど、話戻すけど俺が飯島苦手な理由はなこの高校には俺たちの中学から進学したやつがほとんどなんだよ、そんで俺らの中学では何故かサッカー部とバド部が仲悪くてな、俺があいつに喋りかけると睨んでくるんだよだから苦手」


「そうだったんだな」


「でもイルカはそんなこと関係なく仲良くしてくれたけどな」


「イルカは昔から優しいんだよな」


「そんで、なんで急に飯島のこと聞いたりなんてしたんだ?」


「2時間目の休み時間にイルカがそいつに絡まれたのよ、強引にイルカをつかんでたから俺が割って入って少し言い争いになったってだけ」


「そんな事があったのかよ!?それにしても四葉よく飯島に食らいけたよな」


「どうゆうことだ?」


「ほら飯島ってデカいし少し、いやだいぶ強面だろそんな相手によく言い争うことができたなーって」


「俺の中だとそんな大したことはしてないつもりなんだけど」


「イルカが言ってたなー四葉は怖いもの知らずって」


「その話はしないでくれいろいろと恥ずかしいから」



「四葉、この後って残れたりする?」


帰りの支度をしているとイルカに引き止められた。


「特に用事もないし、大丈夫だな、なにかあるのか?」


「ちょっと伝えたいことがあって、でも少し待ってて貰ってもいい?」


「分かった、じゃ教室で待ってるよ」


「ありがとう」


そういうとイルカは教室から出ていった。


教室で待っていると、そのうち眠くなり俺は寝てしまった。


「・・・・・・・・・・」


「・・・・・よつば・・・・四葉起きて!!」


「・・・・ごめん寝ちゃってた、今何時?」


「6時くらいだね」


外を見ると大雨が降り出しており、帰るのが難しくなってしまっていた。


「本当ゴメン」


「いいんだよ、僕も待たせちゃってたわけだし」


「あ、そうだ伝えたいことってなんだ?」


「・・・・・・・」


するとイルカは口を閉じてしまった。


「・・・・・・イルカ?」


俺が呼びかけるとイルカは口を開いた。


「あ、あのね四葉、こんな事言われても気持ち悪いし、迷惑だろうけど・・」


少しの間を置いてイルカが口を開いた。


そして、イルカの口から出た言葉は俺の思考をフリーズさせた。


「小さい頃から、ずっと四葉のことが好きだった」


俺の中で何かが音を立てて崩れ始めた。















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モナ・リザは夢を見る 粟野蒼天 @tendarnma

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