ソロモン王を探して
真々田レイ
第1話 魔法陣
また、文字が増えている..
かれこれ15年ほど勤めている会社の事務所は築64年の昭和レトロなビルの中にある。田んぼの中に突然立ったという表現がぴったりのビルの中に事務所はある。
事務所には私のほかにアルバイトのウェブ担当の男の子がたまにくるぐらいである。
ワニの小さな頭蓋骨りと魔除けの鈴をつけた鍵の束をガチャガチャ回しながら、もう一度、廊下から下の通りをみるとやはり文字が増えている
道の文字が見えるとだいたいその道は通れなくなるということが感じられるというか、しばらくは通らない方がよいということ、だからなんだということなんだが文字や記号がでた道は避けた方がいいそれだけのほうがいい
2月22日だというのに、猫が日向ぼっこする日が一筋もあらわれないような曇り空と横殴りの雪が寒々しい
家まで歩いて帰るのがめんどくさい天気だし、しかも道路には文字が見え始めているからあまり道を通りたくない気持ちもわいてくる
一人で帰るよりかは誰かと駅までは途中まで行きたいとおもい、鍵をいったん閉めた事務所をあけて中にいる男の子に声をかけてみた
「ねえー!」
「はーーーい、ちょまって」パタパタとスリッパをはいて入り口まで男の子がやってくる、男の子っていっても名前はあるんだけどあんまり若いから、男の子っていってしまうんだよね
「ねえ、雪とかひどいし もう6時だから一緒に帰ろう」
「あ、、俺まだ仕事おわんないんですよ、だからまだかえりません」
頭2個分ぐらい上にある男の子の顔を少しにらみながら
「そうなんだ、わかったじゃあ一人でかえれってことね」
「いつも一人でかえるんだからいいじゃないですか」
「あんたも、早く帰りなさいよ、残業代なんてでないんだから」
「はいっ」
パタパタパタ
男の子は実にさっぱりとしている
やっぱりこの曇りぞらで文字だらけの道を雪にまみれながら帰ることになるのかとため息がでた
ソロモン王を探して 真々田レイ @marcaribe
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ソロモン王を探しての最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます