3-5 果てしない怒り

何故学校内にデッドキングの構成員が蔓延って居るのか理由がわからない中、私たち3人は必死で屋上に向かう。途中でおんぶしてもらい、私は睡眠を摂ることにした。普段はなかなか眠れないが、今回は直ぐに眠りについた。


「寝るの早!」

「声が大きい!」


琴葉と姫華の2人がそんな事を言っていると、構成員に見つかってしまう。


「居たぞ!」

「やばいやばい!走れぇ!」


発砲音が凄まじい。その音のせいで、私は睡眠時間10分で起きてしまう。だが、少しでも睡眠が取れただけでも私にとっては十分だった。内ポケットにしまっておいた薔薇を取り出すと、拳銃に変えて発砲した。


「ぐあっ!」


私の弾丸は、見事に構成員に命中して構成員は倒れる。

琴葉に下ろしてもらい、屋上を目指そうとする。しかし、姫華が中々来ず、後ろを振り向く。そこで私は息が止まった。

そこには、肩と太ももから血を流している姫華がいた。痛いのを我慢しながら、よろよろと歩いている。


「姫華!大丈夫?!」

「全然…大丈夫…。この程度…ぐぅっ…。」


私は姫華の元に駆け寄って、出血している所を確認する。私がどうしようかを焦っていると、琴葉が悲しそうな声で口で話し出した。


「…姫華が…私たちの盾になってくれてたの…。さっき…肩と足に当たって…。」


琴葉がうずくまってそう話す。私は、その時感情がごちゃごちゃになった。私のせいでこんなことになったという罪悪感、そして…デッドキングに対する怒りだった。友達を傷付けられた怒り、死んでいなかっただけでも私は良かった。もし死んでいたら…私は放心状態になっていたと思う。

転生前、友達が少なかった私にとっては、友達は家族のような存在だった。その友達がこんな目にあって、私は苛立ちが止まらなかった。


「………。」

「琴音…?」


私は制服を脱ぐと、薔薇からナイフを作成して袖を切って姫華の止血を行う。そして、姫華に肩を貸して歩く。琴葉には、私が作った拳銃を手渡して私はこう伝えた。


「…あいつら…全員潰すよ。」

「う…うん…。」


この時、琴葉は私の声から凄まじい殺意を感じたらしい。私の怒りはその程度で収まらないとこの時思っていた。ひとまず、あいつらは許さない。その一心で階段を昇っていく。この階段を登り終えたら屋上にたどり着く。

屋上の扉を開けると、私の思っていた通り誰もいなかった。流石に屋上までに人手はやらなかったようだ。


「姫華、しばらくここで休んでなね。」

「ごめん…ありがと…」

「……謝るのはこっちの方だよ。敵の罠にハマって…2人を危険な目に遭わせたんだから…。」

「友達を助けるのは当たり前でしょ。」


後ろから琴葉に声をかけられて、私はつい涙をこぼす。そして、3人して笑っていた。その時だった。突然地面から荊棘が出てきた。私はとっさに姫華が荊棘の餌食にならないように彼女を抱えて後ろの方に飛ぶ。無事かわすことは出来た。すると、聞き覚えのある声が上から聞こえてきた。


「友達ごっこ?悪いね。そんなんもう飽きてんだよ。」

「お前…」


琴葉と私が睨みつけながら、拳銃を向ける。すると、そいつはニヤリとしながら話を続ける。


「私の名前は茨。本名は木原 茨きはら いばら。お前を排除しに来た四幹部のひとりだ。」

「前は捕獲するとか言ったくせに?」

「お前のせいで私の評価はどん底になった。であれば、お前を排除してボスに実力があると見せつけることにした。お前を排除した所で代わりはもういる。」

「結局、お前の承認欲求と憂さ晴らしだろ?私を始末して、ボスに認めて欲しい。それと、私のせいで立場が怪しい。ただそれだけ。」


こいつの話からすると、私の代わりはいる。しかし、私の存在が気に食わない。ただそれだけの話だろうな。子供かよ。と思ってしまう。

こんなん、あいつのせいでこんな目にあった。ぶっ殺してやる!ってことだろ。理由が子供すぎる。


「くだらん理由だ…」


そう言いかけた時、目の前に荊棘が迫っていた。その時、私と誰かの制服とが入れ替わっていた。私は琴葉のそばに居た。琴葉が私と自分の制服を入れ替えてくれたようだ。


「…うぜぇんだよ…。大人しく死ねよ…。お前ら共々よぉ!異能!『荊棘地獄』!」


学校の床、壁から無数の荊棘が伸びてくる。

荊棘は私ではなく、琴葉のことを狙っており肩と足の付け根を貫かれてしまった。そして私も、それを見て呆然としている間に脇腹と片腕をを貫かれた。

学校の屋上が荊棘の影響で崩れていく。急いで姫華の元に向かわないと。私はその一心だった。琴葉も同じ心境であり、姫華の元に向かっていた。怪我を負いながらも、私たちは自分のワイシャツの袖を破って止血をしながら急ぐ。


「うぜぇんだよ!くそが!」

「やかましいな!友達守って何が悪いんだ!」

「友達なんて…その時だけなんだよ…いつかどうせ裏切る…そんなもんなんだよ!」


私と琴葉は荊棘による妨害にあいながらも、姫華を抱きしめて縦になった。学校は思いっきり崩壊して瓦礫の山になってしまった。しかし、ジャッジメントギャンブルを使うことによって3人とも無事でいれた。

入る前に、私たちは追加で腕や足に切り傷を負ってしまったが、軽い怪我で済んでいたし、姫華が怪我をしていなくてひとまず安堵した。止血もジャッジメントギャンブル内で姫華の制服を借りながら行えた。

そして、2人を逃がして私は茨の元に向かう。


「…反撃開始だ。お前を倒す。」

「上等だ。あの方に私の力を見せつける。」


そして、瓦礫の山となった学校でタイマンを始めた。私は、友達のことを馬鹿にし、傷付けたこいつを許さない。怪我は大きく、長時間戦闘はできないがこいつを倒す。絶対に許さない。

ここから、私の怒りの攻撃が始まった。

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異世界転生したから、ここでの生活をエンジョイすることにした アンヘラ @Anhera_0327

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