3-4 紅薔薇琴音排除作戦
次の日、わたしは気が付いたら教室の床に倒れていた。
目を覚ました時、外は晴れて時計は午前6時を指していた。
影が無くなって、途中で追い出されたのかもしれない。しかし、能力解除した可能性も否めなくは無い。
私はあの後何とか出られないかと、ずっともがいていた。それしか思いつかなかったのだ。そのせいで腹も減り、喉は乾き力も出ない。
だが、やることはもう決まってた。「影隠し」の使用者を突き止める。
ふらふらと立つと、壁沿いに歩って行く。
「あいつの…正体を…」
しかし、この身体は転生前の自分とは大きく違った。
体力がないのにもがこうとしたのが痛手となった。結果、身体中が痛い。腹も減っているため、余計だ。
そして、私は廊下にぶっ倒れた。色んなことが重なり限界を迎えてしまう。
唐突に睡魔も襲ってくる。眠い。でも…進まないと…。そう思いながら、ほふく前進で前に進んでいく。途中で物音と声が聞こえた。先生か?それとも誰か来たのか?兎にも角にも、それであれば非常に嬉しい。何とか助かる…と思ったのは束の間だった。
「見つけたぞ。紅薔薇琴音だ。」
「命じられた通りに、速やかに射殺するぞ。」
現れたのは黒服だった。となると…デッドキングの構成員だ。
終わった。一瞬で頭が真っ白になる。もう力が入らない。頭に銃口が突きつけられる。死は確定…異能を使ったとて無駄に終わる。私は覚悟を決めた。引き金が引かれる…。その時だった。
ゴスッ。
「がはっ!」
銃口を突きつけてきた黒服の後ろから、なにかが当たる音と同時に断末魔が聞こえる。それに動揺してもう1人の黒服は私から離れて後ろを振り向く。そいつは私の前で壁に叩きつけられていた。
「琴音!大丈夫?!」
「こ…こと…は?」
「私もいるよ〜。」
「そっち…は…ひめか…?」
目の前に現れたのは2人の女子だった。1人は琴葉、もう1人は姫華だった。2人は私が帰る時に居ないことに疑問を持って、朝早くから私のことを探してくれていたらしい。
すると、いきなりデッドキングの構成員が学校に入ってきたため、道中倒しながら進んでいたところ私が殺されかけているところを見つけたということだった。
「ほら、立てる?」
琴葉がやさしく手を差し伸べてくれた。私はその手を掴んで、ゆっくり立ち上がる。
「あ…ありがと…」
「早くここから出ないと!猫ちゃんたちの情報だと、まだ学校内に居るそうだから…どこかに隠れておかないと。」
「お…屋上…そこなら…」
私は声を必死に出してそう伝える。そうして、屋上に向かうことにした。屋上に行けば、少しは休憩が出来ると思ったからだ。
「わかった…姫華ちゃん。行くよ!」
「うん!」
姫華が肩を貸してくれて、琴葉が先頭を走る。途中で教室に入って休憩を挟みながらではあるものの、順調に進んでいる。
そこでパンと飲み物を2人がくれた。これで少しは腹ごしらえが出来た。だが、構成員達は待ってくれない。私の居場所を見つけると、瞬時に発砲してきた。
琴葉が異能を使って私の代わりに倒してくれるので、とても心頼もしかった。
「通信機…あるなら…回収しておこ…」
「わかった。えっと…ここかな…」
ポケットに手を突っ込んで、通信機を強奪する。すると、そこから聞いたことのある声が聞こえた。
『紅薔薇琴音は見つかったか?まだなら、早く見つけろ!見つけ次第発砲して始末しろ!』
『ザザッ…ですが、ほかの構成員からの情報だと取り巻きが2人いるという情報が…』
『だからなんだ。そいつらもまとめて始末してしまえ!紅薔薇琴音さえ消えれば、私はボスから賞賛を獲れるのだ!
邪魔者は消した…あとはあいつさえ消せば我が部隊はほかの奴らとは1目置かれるのだ。分かったら早急に始末してこい!』
『はっ!』プツン
この声…アイツだ…。
この前裏路地で私たちを襲撃した女だ…。私を始末?冗談じゃない…。
「ふざ…けるな…」
「琴音?大丈夫?」
「早く…屋上に行こう…。殺されて…たまるか…。」
「だね…行こう!」
そう言い、屋上に向かっていく。なぜ私が殺されなければならないのか。理由は分からないが、デッドキングの計画に邪魔なのか?それとも…あいつの独断なのか?それもこれも、こいつらを率いているリーダーをぶっ飛ばして聞くのみである。
ここで殺られては…絶対悪い方向に向かうとしか思えないと確信した。
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