2.前の席の女子とバスケの練習試合を見にいくことになった
帰宅後。
──
(
ただ、
──
(
練習試合の会場は、うちの高校だ。
そんなわけで、
「おっそーい!」
「時間通りに来たのに!」
「もー! こういうのは、30分前には着いて、ちょっと遅れちゃった女の子に対して『俺も今来たところ!』って言うのが当たり前なの!」
いや知らん。
でも目の前でぷんすか怒っている姿さえ、かわいらしいのが
だから、2人の様子を見た周囲の人間が、どちらに味方するかというと。
「えっ、なんでここで喧嘩してるの……?」
「あれ、
「
という、女子同士の謎の連帯感から。
「
「その気持ちはわかるけどお前長身ショートこそ至高って言って、理想通りの彼女いるのに、
「やめてください俺は彼女一筋です」
「それはそれとして、お前らや
高校生のくせに母親が見そうなドラマみたいな会話を始める男子とか。というか最後。なんか変なこと言ってるのがいたぞ。
(なんで? 俺正論言っただけなのに怒られて、周りからの目線がめっちゃ痛いんですけど?!)
練習試合の時間が近づいてきたから、バスケ部員や、応援に来た生徒が増えてきて、周囲から
「すんませんね! 女子と出かけるの初めてなもんで当たり前を知らねえで!」
(おれわるくない! でも謝るしかない!)
「そっか……えへへ」
「私が、
背後に花が咲き誇る幻覚が見えてきそうなほど、
(理不尽にキレたと思ったら突然デレるのって何?!?! 女子、意味わかんねぇ……)
それでも。
悔しいことに
◆
体育館に入る前に
定刻通りに、女子バスケ部と、近くの女子校との練習試合が始まった。
(バスケはシュートで点数が入るのと、ボール持って3歩歩いたらダメくらいしか知らねえけど、分からないなりに見てて面白いな)
なんだかぽんぽん点数が増えていくし。2階の観覧席から見る試合は、
コートを縦横無尽に走る選手たちの中に、
(あ、あそこにいるの、
同じ緑化委員という腐れ縁で、遠目にもわかるくらい顔を覚えていたようだ。
ちょうどボールが
「やったー!」
はしゃぐ
(
「女子校にちょっと追いついたー! わーい!」
ぎゅっ。
あの、なんていうか、密着してて、なんだか、胸のあたりの……ふにふにした物が!
「
「
「あの……なんと言いますか……俺から言うとセクハラになりますので……察していただけると……」
「わかんないなぁ」
などと、
「見せつけてくれやがって……」
「
「そんな事より俺の彼女の活躍見た?」
周囲の視線がまたグサグサ
と、
「あっ! 2年の先輩がスリーポイントシュート成功! やったー!」
勢いよく
つまり、
結果、
(待って待って待って、こんなの身がもたない! これ以上抱きつかれたら
「スリーポイントシュートだよ! これで同点! 頑張れー!」
すりすり。ふにふに。
(やめて! もうやめて! 社会的に死んじゃう!)
「あの、
「ごめんね。私、抱きつき
──ドクン。
(嫌っていうか……男子高生がこんなシチュエーションを嫌いなわけがないだろ!!!)
「嫌じゃないなら、抱きついてもいい?」
「お、おう……」
そんな二人に対して。
「チッ……人前でいちゃついてんじゃねぇよ! バカップル!」
聞こえよがしの舌打ちが、観戦中の男子から浴びせられる。
(バカップルどころか付き合ってない……ほんと何でこうなったの?!)
得点のたびに、
(
もう
(わかんねぇ……本当に
試合終了を告げる、選手たちのありがとうございました! というあいさつで、やっと
「やったね! 勝ったよ!」
「ソウダネ」
試合結果は、一点差で
◆
「
「……大丈夫」
2階から1階へ降りる途中、
(大丈夫なわけがないんだよ……!
「──よかった」
ふにゃりと
(その心から俺を心配してるって感じの無防備な笑顔は反則! 試合中の全部許した!)
「私、ちょっとお手洗いに行ってきますね」
「いてら!」
ちょうど階段を降りてすぐ横が女子トイレだ。
(改めて
女子トイレの前で
「あれ?
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