怒りんぼうのライオンの像

怒(おこ)りんぼうのライオンの像(ぞう)

 ある公園こうえんにライオンのぞうがいました。

 キャッ、キャッ、…

 子供達こどもたちたのしそうにあそんでいます。

「やかましいっ!」

 ライオンのぞうはいつものように怒鳴どなりました。

「ここはあそぶところなんだからなっ!」

 そしてこれもまたいつものように、子供達こどもたちかえします。

「うるさいっ!おれはこのだいからうごけないんだっ!よそへけっ!」

 そう。ライオンのぞうは、だいにくっついてうごけません。

 いいえ。そもそもぞうであるライオンのぞうは、うごけるはずもありません。

「チェッ!」

 子供達こどもたちはそうって公園こうえんていきました。でも一人ひとりだけのこっていました。

「ねぇ、どうしていつもおこってるの?」

「…」

 ライオンのぞう子供こどもいかけを無視むししました。

「おにごっことかたのしいよ?」

「…」

 それでも子供こどもはなおもいてきます。

 ライオンのぞうはこれも無視むししました。

「そうだ!おにごっこやろう!」

 でも子供こどもはおかまいなしに、とてもいことをおもいついたというかおでそうさけぶと、ライオンのぞうくびってうごかそうとしました。もちろんライオンのぞううごきません。あきらめずにちいさい子供こどもが、何度なんど何度なんどもライオンのぞうくびまわそうとするそのさまは、まるでライオンのぞうののどをでているようでした。

「こ、こらっ!そ、あ、…」

 ライオンのぞうはもう無視むしできず、おもわずこえしました。そして―

 ゴロ、ゴロゴロゴロ、…

「な、なに⁉」

 突然とつぜん轟音ごうおんに、子供こどもはしゃがみんであたまかかえました。

 そんな子供こどもに、ライオンのぞうあわてふためいてこうこたえました。

「か、かみなりだっ!あめるから、か、かえれっ!」

 子供こども大変たいへんだというように、一目散いちもくさんかえっていきました。

 クスクス

「!」

 突然とつぜんこえたわらごえに、ライオンのぞうがびっくりしてをやると、これまでのやりりをずっとていたおんなひとが、あめ?というように、そらてのひらけて、くびかしげてそら見上みあげました。

 そしてまたクスクスとわらいながら公園こうえんていきました。

 そら快晴かいせいでした。


 きみちかくにライオンのぞうはいる?

 いたらのどをなでちゃダメだよ。

 かみなりっちゃうからね。

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