ヘクサのクロウ

 町に帰ってきて真っ先にルナとシロに会いに行く、借家のドアをゆっくり開けると、ルナとシロが抱き合いながらスゥスゥ寝ていた。


「よし、安心したギルドに行くか!」


「あたしも行っていいかい?」


 キキがルナの影から顔を出す。

「いいけど何もないぞ」


「なんか久しぶりに興奮したのかな、ギルドで酒を買いたいんだ」

 なるほどな、ずっと飲んでなかったもんな今日は良いだろ。

「よし行くか♪ 今日は、たらふく飲めよ!」


「やったぞ酒だ!」

 キキは嬉しそうだ。

 

 日の出前にギルドに着くと中は、なぜか大勢の人でいっぱいだった。

 俺と弁ちゃんの姿を確認したのかハロルドが声を張り上げる。


「これでスリーアウト全員帰還だ!!! コイツ等のお陰で若い奴らの命が救われた!いくら感謝しても、したりねぇ、『鉄壁』『ラオウ』『珍獣』そして新メンバーの『ドSのクロウ』だ!」

 『うおおぉぉぉぉー、ドS!!!』『ドSやるじゃねぇか』とか聴こえてくる、そして謎のドSコール『ドS!ドS!ドS!ドS!ドS!ドS!ドSぅ!』

 

 ルナ!シロ! 今日お父さん『ドS』デビューしたよ!全然悲しくないよ、もう感情死んだよ!!!


 ドSコールの中、キキが前に出て叫ぶ。

「なにがドSのクロウだぁ!!!」

 

 あれ! キキさん援護してくれるんすか! 頼んます姐さん!!!

「クロウはなぁ、クロウはなぁ、屁臭のクロウだぁ!!!」


 あれ? 何いってんのこの子…………駄目だもう酒瓶をラッパ飲みしてらっしゃる。

「屁臭! 屁臭! 屁臭なんじゃあ、うわぁぁーん!」

 キキさん、ちょっとキキさんや、どんな感情で泣いてらっしゃるの?


「おいヘクサとはどういう意味だ」

 冒険者達から質問が飛ぶ。

「屁臭? 屁臭なんて屁がく・ぶはっ!」

 俺はキキの口を全力で塞いで黙らせる、ちょっと黙ろうかキキ!

 

 俺は覚悟を決めた、全力で苦難を乗り越えると。

「ヘクサとはなぁ!俺の国の言葉で数字の6を表す! 俺はこの世界の6つの大国、自由国『スクワッド』、宗教国『エインジェル』、獣人国『スベェーリ』、エルフの国『ロレイユ』、竜種の国『ルチェルトラ』、鬼の国『閻魔』すべて巡った。そして6つの属性『火』『水』『風』『土』『聖』『闇』を学んだ、それを称えられいつしかヘクサと呼ばれてたんだ。」


 うーん、何言ってんの俺…………


「ちょっと待ってくれ!他はなんとなくわかるが『閻魔』は無理だろ、あそこは輪廻を司る行ったら帰れない国だろ!」

 

「そうだ、だが俺は帰ってきた!」


「そんなん信じられねぇ、証拠をだせぇ!」

 冒険者達が騒ぎ出す、仕方ねぇな!


「証拠か証拠はこれだ!!!」


 おれはキキのフードを引っ剥がし、角を指差す。


「鬼の仲間がいる!それが証拠だぁ!!!」


「うおおぉぉぉぉ!うおおぉぉぉぉ!」

 冒険者達の歓声が上がる!、そしてどこからか

「ヘクサのクロウ!ヘクサのクロウだぁ!!」


 そして謎のヘクサコール。

「ヘクサ! ヘクサ! ヘクサ! ヘクサ! ヘクサ! ヘクサ! ヘクサぁー!!!」

 

 やったのか俺は苦難を乗り切ったのか? 意味は誤認させれたけど、結局『屁臭』かよ!

 


 ルナ!シロ!お父さん今日『ドS』になったけどもう『屁臭』になったよ!!! 


 こんなお父さんを許してくれ!!!

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スリーアウト+ 塩塚ヨシイサ @shiozuka

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