第6話

「……それで、守備は?」

「見つけました。衰弱していますが一命を取り留めています。」

「そうか……」

緊張を解くように長く息を吐く。

どうやらずいぶん緊張していたようだ。

「セイ様。あの絵はどう手に入れたのですか、アレン殿がいた場所の特徴が事細かに描かれていましたが」

「ああ……。紙に描かれていた場所と実際は一致したか?」

「はい、それはもう。見ながら描いたと言われても納得できるほどピッタリと一致していましたよ。あの絵があったからこそ、迅速に発見に至りました」

鍵の場所まで書いてありましたし。


ガイルと共に行かせた分隊長から話を聞く。


急ぎで作った捜索班はガイルと共に、イリスの描いた絵を頼りにアレンの捜索に出向いていた。

アレンを発見し、つい先ほど帰還したため報告を受けているところだ。


「あの紙についてはわからないことが多くてな。詳しくは説明できない。それから、このことについては他言無用だ。」


「承知しました」


報告を終えた分隊長を下がらせ、1人考える。


ガイル曰く探知系のスキルの持ち主。詳しく話を聞くと魔獣が近くにいるかどうかわかるから、そう判断したとこのこと。

しかし今回のアレンの居場所を突き止めたことと絡めると


(透視系のスキルか……?)


普通の透視系スキルは自分の視界で捉えられる範囲の物を透かしてみることしか出来ないが、あの少年はそれより広く見られるとしたら…?

(だからと言ってアレンのいた敵地まで見通すとなると相当の距離になるが、そんなことは可能なのか…?)


スキルは術者の能力や体力などによっても威力や精度は変わる、わずか10歳前後のひょろりとした少年に大の大人をはるかに凌駕するほどの精度を出せるとは到底思えない。


(他国の貴族…)

他国には確かにこちらまで情報が来ていないスキルがあるだろう。

しかしものごとを知らない様子や威張る様子ないことからあの少年は貴族というより、


(国に保護されていたスキル持ちか……?)


あれ程の精度があれば、国が欲しがり利用するために囲い込むのも頷ける。


もしそうなら何らかの理由で彼を移送中にトラブルが起き、1人になったあの少年をガイルが見つけたということか。


他国にはあの少年以外に同様のスキルを持つ者がいたら、きっと今頃見つかっているであろうから――


(こちらに置いておき利用するのも手か)


あの少年の価値を知った今、無下に扱い出ていかれても困る。最近話が少しずつ伝わるようになってきたそうだし、とりあえず扱いは今まで通りで言葉が通じるようになるのを待つか…。



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神の目を持つ少年、異世界に往く 花火師 @hanabishi31

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