第18話 帝に興味はありません
参った参った。
いやあ、何が参ったって、帝、ってやつよ。
私のサロンに集まってきてる人って、ほら、有力者揃いじゃない?
しかも、私の欲しいものをゲットしようって動いた人たちなんて、もうねぇ、超エリートだったりするのよ。
しかも張り切って宝のゲットを企んだけど、みんながみんな全滅。
そんなことも影響してかしら、どうやらこの国のトップが私について興味を持っちゃったのよね。
帝、なんて呼ばれるその人は、まぁ、なんていうか、いわゆる王のことなんだけどさ、言っても未開の星じゃない?身分社会なわけよ。
もともと私を拾ったってことになっている老夫婦は、まぁ、平民よね。
ただし、錬金術で作った金だったり、布だったり、また、私への貢ぎ物だったりで、貴族っぽい扱いになってるの。
なんせ私に求婚している人がいわゆる貴族階級だもので、私もそれなりの地位じゃ無いと・・・なんて感じ。
なもんで、貴族扱いの位っぽいのをおじいさんはもらったのよね。偉い貴族の人が、自分の親戚筋である、なんて宣言をする形で。
ただね、その頂点の王様。
美人だっていう噂の私を手に入れたくて、城に来い、って命令してきたのよ。
なんだっけ?内侍中臣房子だっけ?
帝の秘書みたいな人なんだけどさ、めちゃくちゃ上から目線で、帝が呼んでるから来るように、なんて言ってきたわけ。
ふざけるなって感じでしょ?
会いたいなら自分で来い、って感じよねぇ。
わたしがNOって言ったら、目を白黒させてたって。
ちなみに私は会ってないわ。
おじいさん達を通しての伝言。
とは言ってもさ、おじいさんたち、さすがに王様の命令って、びっくりだったみたいよ。
皇子レベルじゃ、あしらえるぐらいに肝っ玉太くなっていた彼らも、なんとかならないか、なんて、言ってくるんだもん。
よくよく聞いてみれば、マジモンの官位やる、って言われたらしい。
私にもおじいさんにもね。
官位をもらって登城できる、っていうの貴族の中でも一握りなんだって。
今でも貴族扱いとはいえ、偉い貴族から与えられたそれと、帝が直接与えた貴族位やら官位やらっていうのは本物度合いが違う、って言う・・・
しかもね、まぁまぁ未開の文化圏じゃありがちなんだけどさ、王様の言葉は神の言葉。NOなんてありえない。返事は、はいかYESなんて世界なわけ。
てことで、もし私が言われたとおり帝に会いに行かなかったら、一族郎党、つまりは私はもちろんおじいさんもおばあさんも死刑かも、なんて言って、泣かれちゃったから、仕方ないわね。
「おじいさまおばあさまには大恩がございます。わかりました。帝の下へと参りましょう。ただし、そうですね、かの方の御前にて、この命、絶って見せましょうか。」
私は、そんなふうに言ったのよ。
だってさ、もううざいじゃない?
たかが原住民の一地域のトップが、何様?
力尽くで従わせるなら、自殺したふりして姿をくらませるわよ。
さすがに、じいさんばあさんまで殺されるのは寝覚めが悪いから、死刑になるなら保護しなきゃ、かしら。
私がそんなことを考えているのを、どうやらものすっごく憂いてるって勘違いした二人は、びっくりして待たせている、その秘書さんに向かって走って行ったわ。
どうしても帝に会えというなら命を絶つと言ってるって言われて、秘書さんも、苦い顔をしつつ帰って行ったみたい。
「官位ほしさに、せっかく神から授かった姫を失うなんて、本末転倒も良いところだ。」
「姫がいなくては、生きている甲斐がございません。」
なんて、二人が言ってるのを聞いて、まぁ、ちょっとほろっときちゃった、かな?
私より贅沢とかに興味があるとばかり思っていたのに、私が死ぬなら自分たちも、なんて話しているのを聞いて、ちょっとばかり申し訳なく思ったってのは内緒よ。
帝から慌てて、「来なくて良いから死なないで。」なんていう感じの手紙が来て、まぁ、一段落、ってところよね。
てことで、私は、場所とかグッズの本物とかの情報をゲットして、しっかりMEを貯めるのに、当分は忙しくなりそうです。
ちなみに、5人の失敗と、帝がご執心だっていう噂のためか、私のサロンに人が来なくなったのよね。これでME集めに力を集中できるってもんよ。
私は、そんな忙しい日常の中、もう原住民の貴族のことなんてほとんど頭から飛んでいたのだけれど・・・
だって、しょうがないでしょ?
やっと刑期を終えられる目処がついたんだから。
ああ、早くME貯めて文明の中に戻りたいわぁ。
そんな風に思っていたのに、まさか、あんな手段に出られるとは思ってもいなかったのよねぇ、このときはまだ・・・・
真・竹取物語 平行宇宙 @sola-h
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