詳細な料理描写が小説書き屋の参考になるだけでなく、そこから想像される美味そうな香りと共に登場人物の心理までもが届いてくる筆の運びには感心すらさせられる。読後に込み上げる喪失感とほんわかとした充足感は作者の筆力の賜物だろう。是非、この家族をテーマにした短編を読んで心の空腹を満たしてほしい。
当たり前だと思っていたもの。なんとも思っていなかったもの。失って初めて、大切なものだと理解してしまうのが、切ない。それでも再び、彼ら自身の中に遺されたその味に巡りあう。それはとても尊いことだと思う。切なくも美味しくあたたかい物語でした。
沁みますね。本当に沁みます。 私の母は料理が得意なので、この小説を読んで、もし突然母が死んでしまったらと想像すると、涙が込み上げてきました。お母さんとは、家族のために無償で頑張ってくれている存在です。そんな母は、居ることが当たり前なんじゃなくて、そこに居ること自体が大切なことなんだと感じさせられました。素晴らしい小説だと思います。良いものを読ませて頂きました。ありがとうございました。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(122文字)
泣きたくなるような、喚きたいような、気持ちの三人が、改めて失った母の存在の大きさに思いやり、それでも、前に進んでいかないといけない。その中で、母のレシピを一つ、一つ再現していく。そして、いつか大切な思い出に。号泣きです。