初めて聞く人に桃太郎を説明する。

@ibasym

初めて聞く人に桃太郎を説明する。

「あのー、ちょっとすいません、今お時間よろしいですか?」

「あ? なんか用か兄ちゃん」

「少しお話をしたくてですね」

「少しくらいならええわ」

「『桃太郎』ってご存知で?」

「いいや、しらん。なんやそれ」

「昔話なんです。有名な民話ですね。

 その『桃太郎』を今からお話するんで、ちょっと聞いていただけたらなぁ、と思いまして」

「有名や言われてもわしゃ知らんが。まぁええわ。聞いたろ。どんな話や」

「むかーし、むかし、」

「え? ちょっ、まて。 むかしっていつや?」

「むかしはむかしですよ」

「いや、むかしじゃわからへん、ワシ、むかし言われてもわからへん」

「えーっと、じゃあ2000年くらい前」

「ほう」

「あるところにおじいさんとおばあさんが住んで……」

「ちょっとまてい、あるところってどこやねん。

 ちゃんと言えやそれ。それ大事やろ?

 あるところって絶海の孤島でも大都会TOKYOでも『あるところ』になってまうやろ。

 どこなんかはっきりせいや」

「あー、2000年前には東京なんて無いんでw」

「は? いや、たとえやろーが! そういう流れのたとえやろーが! 人の揚げ足取るのやめてもらえるか? じぶん気分悪いなー!」

「チッ、うっせーな(反省してまーす)」

「え!? いま逆になってたよな!? 逆やんな!!」

「はぁ、逆って何がですかね。

 はいはい、場所ね場所ね、えーっと、岡山の吉備のあたりね」

「ふんっ、で、それは山間部か? 平野部か? 海に近いのんか?」

「えーっと、平野部。近くに川があって、山のふもとなの。

 で、おじいさんは山へ芝刈りに、」

「ちょっとまてい、なんでおじいさんとおばあさんだけで住んでるんや?」

「それはいいでしょ。そういう家庭もあるでしょ。

 とにかくおばあさんは川へ洗濯にいきました」

「おいちょっとまて、2000年前に洗濯の文化あったんか?」

「あったんだよ!!!! しつけーな!!!」

「ねえよ!!! しばくぞ!!!」

「俺の方がしばくぞ!!!」

「ワシの方がもっとしばくわ!!!!!」

「なんでおいたんたち、けんかしてるの、けんかやめよーよ」

「お、なんや幼女、おじさんたちは今大事な昔話中やねや、少し黙っとれんか」

「ほう、幼女ですか」

「わたしもむかしばなしきく!」

「しゃーねな、ええで、いっしょに聞いたるか。

 嬢ちゃんもこいつのガバガバ設定に気づいたら即ツッコミ入れるんやで」

「うん!」

「え、ちょっと余計なことしないでくれません?

 いや別にいいですけども。

 まぁそれはそれとして、ややこしいし、名前つけておくか」

「え? 名前つけておくってなに? 何がや? え?」

語り部「で、どこまで話しましたっけ?」

関西弁でやたら突っかかってくるおっさん「おばあさんが川へ洗濯に行くところまでや」

関おっさ「え? なんやこれ? なにしてくれたんやこれ! 『やたら突っかかってくるおっさん』てなんや! さき絡んできたんそっちやろ!!」

金髪碧眼幼女「これはひどい」

金髪碧眼幼女「うわ! わたしきんぱつでもへきがんでもない!」

語り部「あー、気分良く語れるのでこれで行きます。

 で、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこと流れてきます。

 はい、質問は?」

関おっさ「『はい、質問は?』じゃねえよ。 なんで川に桃が流れてくるんや。 っていうか『大きな桃』ってどれくらいの大きさなんや?」

金髪碧眼幼女「『どんぶらこ』ってなに?」

語り部「どんぶらこってのは、桃が流れてくるときの擬音または擬態語だね。どんぶらこ、って感じがするでしょ」

金髪碧眼幼女「するー!」

語り部「で、おばあさんはその大きな桃を持って帰りました」

関おっさ「Oh... ストーップ、ストップ、ストップ、STOOOOOOP!」

語り部「なんすか」

関おっさ「じぶん、ワシの質問スルーしおったな」

語り部「桃だって川を流れますよ。試してみてくださいよ」

関おっさ「いやそういう話ちゃうねん。どっから流れてきた桃やねん」

語り部「いい質問ですねー」

関おっさ「そ、そうか」

語り部「これ川上から流れてきたってのは最後の最後に伏線回収あるんで、今はちょっと謎のままなんですよー」

関おっさ「ほー、そなんか」

語り部「あと、桃の大きさですが、大体こんくらいです」

関おっさ「ほー、そんくらいか」

金髪碧眼幼女「おっきー!」

語り部「で、家にその桃を持って帰って、おじいさんと一緒に桃を割ってみたら、なんと!」

金髪碧眼幼女「へくち!」

語り部「くしゃみかわいーねー」

関おっさ「そんなんええねや。続きはよ」

語り部「最近おばあさんが拾ったと話題の『川で拾った大きな桃』について調べてみました!

 川上から流れてきた、とんでもなく大きな桃のようです。

 こんなに大きくなってしまった理由は? いまのところ分からないようです。

 おばあさんが川で洗濯をしていたら川上から流れてきたらしいです。

 人によっては大きすぎて持って帰れないかも……。注意が必要です!

 おばあさんは無事に家まで持って帰ってきましたが、腰は大丈夫だったのでしょうか?

 この桃、おじいさんとおばあさんが割ろうとしていた桃のようです? 中身は誰もがびっくりするアレ」

関おっさ「はよ言えやーーーーーーーーー!!!!!!

 しばくぞ!! しばしばしばくぞ!!!!

 情報量ゼロやんけ!!!! しばくぞ!!!!! はよ割れ桃アホーーー!!!」

金髪碧眼幼女「おいたんのきもちはわかる」

語り部「で、割れた桃の中から男の赤ん坊が出てきたのです」

関おっさ「は?」

金髪碧眼幼女「は?」

関おっさ「いやいやいやいや、な? あるやろ。 もっとこう、あるやろ?」

語り部「何がですか?」

金髪碧眼幼女「こどもだましすぎる」

関おっさ「せやで。 言うに事欠いて、『赤ん坊』?? ププーーーwww

 嘘つくんも大概にせんとあかんで、あんちゃん」

金髪碧眼幼女「あかんぼうが、ももからでてくるわけない」

関おっさ「せやんなー、嬢ちゃん。冗談は休み休み言わんとなー。嬢ちゃんはカシコやなー」

金髪碧眼幼女「^^」

語り部「いや、だから、桃から赤ん坊が出てきたんです」

関おっさ「なんや自分、なんでマジなトーンでそんな突拍子もないこと言うんや」

金髪碧眼幼女「おいたんやばいひと?」

語り部「いや、やばくはないけど。 だから、桃から、赤ん坊が、出てきたの」

金髪碧眼幼女「全裸で?」

語り部「たぶんそう」

関おっさ「人間が桃から出るとかありえん。ホラー作品やんけ」

語り部「部分的にそう」

金髪碧眼幼女「学校に通っている?」

語り部「いいえ」

関おっさ「バーチャルYoutuber四天王と呼ばれている?」

語り部「いいえ」

金髪碧眼幼女「まさかりをかついでいる?」

語り部「いいえ」

関おっさ「いじめられていた亀を助けた?」

語り部「いいえ」

金髪碧眼幼女「主人公と同学年?」

語り部「いいえ」

関おっさ「テーマカラーはピンク色?」

語り部「多分そう・部分的にそう」

金髪碧眼幼女「名前は「う」でおわる?」

語り部「はい」

関おっさ「名前は「も」ではじまる?」

語り部「はい」

関おっさ・金髪碧眼幼女「「桃太郎!!!」」

語り部「そうだよ桃太郎だよ!!!

 はじめから桃太郎の話するって言ってるでしょーが!!! 

 なんなの、さっきからもー!

 とにかく桃から出てきた赤ん坊におじいさんとおばあさんは桃太郎って名前つけたの」

関おっさ「せやかて、桃に赤ん坊が入っているというのは現実的やないで」

金髪碧眼幼女「ももにきせいして、しそんをのこすたいぷのせいぶつかもしれないね!

 まるでとうちゅうかそうのように! 

 まるでとうちゅうかそうのように!

 きすいいきにせいそくするしゅうしゅくしゅにきせいするために、ちゅうかんしゅくしゅであるももをあやつってかわにとびこむようにしむけたのかもしれないね!」

関おっさ「お! 嬢ちゃん、なんやようわからんが怖そうやな! えすえふみたいやな」

語り部「いやそういう話ではないんですよ。桃太郎は寄生生物ではないです。汽水域に生息する終宿主に寄生するために中間宿主とした桃を操って川に落ちるように仕向けたりしません。ミュータントピーチボーイなどではありません。普通の人間の赤ん坊なんです」

関おっさ「普通ではないやろー」

語り部「あー、そういわれると普通ではないかもしれない。

 実はこのあと、あっという間に成長するんですよ。」

関おっさ「は? あっという間に成長てなんや。はっきりせいや」

語り部「チッ、うっせーな。(3年くらいでーす)」

関おっさ「あ! なんじゃワレ!!」

金髪碧眼幼女「おいたんおちついて」

関おっさ「フーッ……。 嬢ちゃん、ワシは落ち着いとる。落ち着いとるで。

 落ち着いとるがな、嬢ちゃん。

 フーッ……。 

 見てみぃこの拳、強く握りすぎて血が出とるやろう」

金髪碧眼幼女「きもちはわかる」

関おっさ「なあ嬢ちゃん、次されたらこの兄ちゃん殴ってええかな」

金髪碧眼幼女「いいよ!」

語り部「どうです? 落ち着きました?

 で、桃太郎は3年くらいで大人に成長したんですよ」

関おっさ「だからそれどういう理屈なんや。すぐ成長するて。意味わからんぞ。病気かなんかか?」

語り部「普通ではないって言いましたよね。普通ではないのですよ」

関おっさ「あ!? 

 普通じゃない理由聞いとるのに「普通ではないから」てなんや!

 トートロジーナや! トートロジーナや!!!」

金髪碧眼幼女「おいたん、とーとろじーなじゃなくて、とーとろじーだよ」

語り部「ほんと細かい事気にしすぎですよ、ふたりとも」

関おっさ「気になるやろがい!」

金髪碧眼幼女「きになる」

語り部「そっかー、気になるよねー。桃太郎は、成長速度はもとより、筋肉量も知能も通常とは桁違いに秀でていたと言われているんだ。桃自体が異常なサイズまで成長していることと併せて考えると、桃太郎は放射線の影響で異常な成長をしてしまったのでは、とも考えられている。宇宙からやってくる、宇宙線と呼ばれる放射線が地球上にいつも降り注いでいるんだけど、地球の磁場や大気や、太陽からやってくる太陽風というのがそれらをある程度防いでくれているんだよね。でも地球の地磁気は過去に何度も反転してきたし、太陽の活動が弱くなって太陽風が地球を守ってくれなかったときなどもあるし、もしかしたら宇宙の放射線が強く地上に降り注いだときに桃太郎は生を受けたのかもしれないね」

関おっさ「ワシにもそんな感じに丁寧に説明せーや!!! しばくぞ!!!」

金髪碧眼幼女「しょうこは?」

語り部「え?」

金髪碧眼幼女「にんげんがかわでせんたくをするていどのぶんめいをもっているあいだに、ちじきぎゃくてんはおきてないよ! いちばんあたらしいちじきぎゃくてんが、77まんねんまえだから、そのころにももたろうはいないよね!」

語り部「へー、そうなんだ……」

金髪碧眼幼女「そもそも、ほうしゃせんによっていでんしがそんしょうして、きょだいかするなんての、よくあるかいじゅうえいがのぷろっとみたいだね!」

語り部「そだね……」

金髪碧眼幼女「かりにたいようかつどうのていかによるものだとして、ほうしゃせんねんだいそくていからえられた、たいようかつどうのけいじへんかをかんがみると、せいれき700ねんころのたいようかつどうきょくしょうきが、あやしいね! ついでにいうと、775ねんごろには、たいようかつどうとはべつに、うちゅうほうしゃせんがたいりょうにやってきたかのうせいがあるらしいから、これがげんいんかもしれないね!? おいたん! えびでんすは!?」

語り部「ふーん、え、えと、証拠はないよ。幼女くんに興味持ってもらいたくて適当なことぶっこいてしまいました。放射線のせいで桃太郎が生まれたかもしれないって説はありません。嘘です」

金髪碧眼幼女「うそついたの!? あやまって!」

語り部「幼女さんごめんなさい」

関おっさ「ワシにも謝れや!!」

語り部「ッシャ!!」

関おっさ「あ!?」

語り部「アーセンッシャ!!!」

関おっさ「あああ!!!??」

語り部「サーーーッセッシャァ!!」

関おっさ「あああああん!!!???」

金髪碧眼幼女「ゆるしてあげよ?」

関おっさ「まぁ嬢ちゃんが言うならしゃーない。今回だけやぞ。ワシにもちゃんと優しくせえや」

語り部「で、桃太郎はどこまで話したっけ?」

関おっさ「犬と猿とキジが仲間になったとこまでや」

金髪碧眼幼女「うん」

語り部「そだっけ? えーっと、で桃太郎御一行は海をわたって、鬼ヶ島に着きました」

関おっさ「は? 船はどないしたんや? 海を渡る船の動力源はどないなっとんや? まさか手漕ぎなんか? そもそも鬼ヶ島ってどこにあるんや? というか鬼ってなんや?」

語り部「えー、おひとりさまワンクエスチョンでお願いしまーす」

関おっさ「鬼ってなんや」

語り部「鬼ってのは、架空の存在ですね。まぁ妖怪です。一般的に絵本などでは、赤い肌、モジャモジャの頭、黄色いツノ、虎柄のパンツ、金棒を持っている姿で描かれることが多いですね。節分なんかでお面見ませんか?」

関おっさ「知らんな。足の数は何本や?」

語り部「二本ですよ」

関おっさ「手の数は何本や?」

語り部「二本ですよ」

関おっさ「人間やないかい」

語り部「ヒト型ではありますね。でもツノ生えてるんです」

関おっさ「そんな生きもんおらんわ」

語り部「いや、だから居ないんですよ」

関おっさ「おらんもんの話してどないすんねん」

語り部「話通じてます??」

関おっさ「本当の鬼は人間の心の中にしかおらんねやでにいちゃん」

語り部「今さらっとめっちゃ腹立つ感じのこと言いませんでした?」

関おっさ「言っとらんで」

金髪碧眼幼女「おにさん、なにかわるいことしたの?」

語り部「村の女性をさらったり、家に火をつけたり、宝物を奪ったりと、悪事を挙げると枚挙にいとまがないくらい悪いことしてるんだよ」

金髪碧眼幼女「じゃあたいほするの?」

語り部「うーん、この時代には警察いないから、退治するだけだね」

金髪碧眼幼女「このじだいって、いつ? けっきょく、せいれき775ねんごろじゃないならいつなの?」

関おっさ「この兄ちゃん最初『2000年前』言うとったで」

金髪碧眼幼女「なにそれいいかげん! にっぽん、まだ、やよいじだい!」

語り部「ごめんなさい」

関おっさ「なんやにいちゃん! ワシ騙しとったんか! たいがいにせいよ!」

語り部「ごめんなさいごめんなさい!」

金髪碧眼幼女「で、おにさんをたいじするって、ぐたいてきになにするの?」

語り部「えっと、それは、んー、えっと、刀で斬ったり、刺したり」

金髪碧眼幼女「おにさんしんじゃうよ?」

関おっさ「悪いことしたやつは刺されりゃええねん」

金髪碧眼幼女「いまだ、ほうによってとうちされえぬ、さらにはじんけんというがいねんすらもじゅうぜんにはりかいされていなかったじだい。すがたのみにひとがたをのこした、ひとともいえぬ、なにものかのいのちが、はたしてかえりみられたであろうか(いや、ない)」

語り部「すみません、幼女さん、漢字混じりで喋ってもらえません?」

関おっさ「ようわからんけど、嬢ちゃんほんまカシコやなー、とりあえず鬼っつーやつは、きっと桃太郎に容赦なく切り捨てられたんやろな、って気持ちだけはワシにはよう伝わったで」

金髪碧眼幼女「^^」

語り部「まぁつまり、桃太郎は悪い鬼を退治、すなわち、殺しにいったんですね。

 うーん、これなんかすげえ話しにくくない? ね? 

 昔話ってこんな気持ちで語るもんかな?

 すげえ後味わるくなりそうだなこれ」

金髪碧眼幼女「わるいやつはころすんだね!」

語り部「えー、まあ、そうだけど、退治、退治するの」

金髪碧眼幼女「わるいやつはころす!」

語り部「退治ね」

金髪碧眼幼女「ころす!」

語り部「退治するの」

金髪碧眼幼女「みみざわりのよいことばでみずからのおこないをつくろっても、つみはいつまでもじぶんをおいかけ、やがてはおのれをしにいたらしめるから、せいとうなことばをつかいたい! ももたろうは、おにさんを、ころす!」

語り部「ええー、当初からヤバそうと思ってたけど、ここにきて幼女さんヤバさ増してますね……」

関おっさ「嬢ちゃんは何言っとるかわからんが、ワシには気持ち伝わっとるで!」

語り部「えぇぇ、俺の桃太郎に対してもその寛容な理解力発揮してくれませんかねえ」

関おっさ「嫌じゃボケ。はよ続き教えい」

語り部「まぁいいや、で、桃太郎一行は十傑鬼を次々となぎ倒し、丁々発止の命のやり取りの末、四天鬼たちを倒していったんですね。家来としてともに戦った犬も猿もキジも未来をすべて桃太郎に託して道中で力尽きていきました。桃太郎自身も満身創痍となりながら、鬼ヶ島の城の奥、鬼の大将のいる部屋の前までやってきたのです」

金髪碧眼幼女「たいしょうのくびもちかえる!? もちかえる!?」

語り部「戸を開けると、綺羅びやかな装飾に満ちた玉座と思しき椅子に肘をかけた鬼がクックックッ、と桃太郎の方も見ずに笑っています。まるで鬼に見合わない痩せた背格好ながらも、張り詰めた筋肉がしなやかな皮膚の中にかろうじて収まっているというような引き締まった肉体。時が来れば確実に弾けるような動きをする、と予感を与える呼吸。桃太郎と鬼の大将の間には、まるで部屋中にセンサーが敷き詰められているような緊張感が漂います」

関おっさ「お、なんか異様な雰囲気やな」

金髪碧眼幼女「たいしょうのくび、うちとる!」

語り部「それまで顔を伏せていた鬼の大将がゆらりと身を起こし、こちらを見た瞬間、桃太郎は驚いて目を見開いて、次の瞬間……、

 あ、俺ここの駅で降りるんで」

関おっさ「は? え? は? は?」

金髪碧眼幼女「え、おはなしは!?」

語り部「いやいや、乗り過ごしちゃう、乗り過ごしちゃう。ほいじゃ、昔話聞いてくれてありがとねー」

関おっさ「おい、にいちゃんちょい待てや、オチは、オチはよ!? 最後伏線回収する言うてたのも何かあったやないかい!」

金髪碧眼幼女「おいたんおはなしはーーーー!!!??? あ、閉まっちゃった」

関おっさ「おい、ちょ、おま、ちょ、なんやお前、その笑顔なんやーーー!!! 右親指で胸元トントンするジェスチャーそれなんやーーーー!!! 結末ーーー!! けつまつ気になるやろがい!!!! おまーーーー!!!!」

金髪碧眼幼女「みえなくなっちゃったー」

関おっさ「ハァ……。ハァ……。

 なんやねんあいつマジで……、まじでなんやねんあいつマジで……」

金髪碧眼幼女「なぞ」

関おっさ「結末気になって、今宵、ワシ、眠られんやろがい」

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