第15話 お狐さま in エピローグ
テッテレー!
軽快で軽薄な効果音が鳴り響きます。
思わずびくりと肩を弾ませる分福。
すると、タタタタタと軽い足音が神社の奥の方から走ってきました。
右手で顔を覆っていたマキナが、スッと傍らに手を伸ばし、何かを手に掴んでからぱっとそれを掲げます。
そして、神社の奥の方から走ってきたみたま様もまた、同じものを掲げて、目を真っ赤にしてぐしゃぐしゃな顔になった分福の前で満面の笑みを浮かべました。
「ドッキリ、大成功~~~~~~!!!」
分福は完全にフリーズしていました。
信仰心を失いいよいよ存在を失って消えてしまったみたま様。
その消えた筈のみたま様が、神社の奥の方から走ってきて、式神マキナと一緒に「ドッキリ大成功!」と書かれた看板を掲げてにやにやしています。
「がはははははははははは!!! 引っ掛かったのじゃ!!! 引っ掛かったのじゃ!!!」
「あはははははははははは!!! 分福先輩騙されましたね!!! ドッキリでした!!! みたま様は、ジャン! こんなに元気です!!!」
「泣いてるのじゃ!!! 冷血漢の分福が泣いてるのじゃ!!!」
「笑い堪えるの大変でしたよ!!! 分福先輩カンペキに騙されてるんですもん!!!」
「がはははははははははは!!!」
「あはははははははははは!!!」
笑い転げるみたま様とマキナ。
二人の言葉をようやく頭の中で理解できた分福は、わなわなと震えてカッと目を見開きました。
「お前ら血の通った人間じゃねぇ!!!!!!」
「神様じゃもーん!!!」
「式神ですもーん!!!」
「今から本当にぶっ殺してやるよコラアアアアアア!!!」
珍しくガチギレした分福が、みたま様とマキナに殴り掛かります!
はい! 実はみたま様が消えてしまう下りは、分福へのドッキリだったのです!
一通り喧嘩を終えて落ち着いたところで、分福はゼーハーと肩で息をしながらみたま様をぎろりと睨みました。
「どういう事なんですかこれ……!」
みたま様は若干ボロボロになった身なりを整えつつ、フフンと鼻で笑います。
「ふふふ。第13話のたいとるを覚えておらんのか?」
分福はしばらくしかめっ面で考えた後に、ハッとしました。
第13話 お狐さま in 復讐劇
「そう! これは第6話のデスゲームでわしを騙したお主に対する復讐だったのじゃ!!!」
デスゲームでみたま様を騙して陥れた分福。
みたま様はまだその恨みを忘れていなかったのです!
色々と合点のいった分福は、力無く崩れ落ちました。
分福はまんまと、みたま様にしてやられたのです。
みたま様は愉快そうにカラカラと笑います。
「引っ掛かったのじゃ引っ掛かったのじゃ~! 分福泣かせちゃったのじゃ~! マキナも協力ありがとなのじゃ~!」
「分福先輩も甘いですね。私がみたま様が消えそうなのに取り乱してない時点で気付くべきでしたね。私、本当にみたま様が消えるとなったらその場で自死を選びますもん。」
「それはちょっと怖いからやめような?」
手を取り合ってきゃっきゃしているみたま様とマキナ。
つい最近新入りになったマキナ、彼女もしっかりみたま様の共謀者だったようです。言われてみれば、最初は慌てていた様子のマキナも途中から結構冷静だったなと分福は気付きます。もっと狂った様に騒ぎそうなキャラな事を分福は思い出しました。
結局、みたま様は消えません。割とまだ余裕があるのです。
「しかし、あそこまで分福がわしの事を想ってくれてたとはのう……。わし、普通に照れ臭かったのじゃ。」
「悔しいけど分福先輩のみたま様への愛は本物でしたね……。仕方ない、そこは認めます。」
にやにやしながら二人が言います。
頬をひくひくとさせながら、分福は二人をじろりと睨みます。
いつもならみたま様を叱り倒す分福ですが、今日はそれ以上何も言いませんでした。
「あれ? 怒らぬのか? 分福? もしかして、ドッキリで安心したとか?」
「ふん。もう知りません。」
「拗ねてしまったのか? でも、これは復讐なのじゃ。因果応報というやつじゃ。」
「ふん。」
「こんなにふてくされたお主を見るの初めてじゃぞ。なぁなぁ、何かりあくしょんしてくれないとつまらんぞ。」
「ふん。」
分福はそっぽを向いてみたま様ともう会話を交わしません。
みたま様は思ったよりも本気で怒っているらしい分福に若干焦りだしたのか、あわあわとしながらマキナにすすすと歩み寄ります。
「どうしようマキナ……! 思ったより怒っておる……!」
「まぁ、ドッキリにしちゃやり過ぎでしたね。死ぬ系のやつは行きすぎかと。私だって同じドッキリされたら発狂しますもん。」
「じゃあ、なんで止めてくれなかったんじゃ!」
「私はみたま様の望むがままに努める式神ですから。」
「主君の過ちを戒めるのも式神の役目じゃろ!」
そんな言い合いをしながら、みたま様はちらりと分福の方を窺いました。
「……分福ぅ。すまんかった。わしがやり過ぎたのじゃ。だからもう機嫌を直して……。」
「ふん。」
聞く耳持たずの分福を見て、本格的にみたま様は焦り始めます。
此処まで頑な分福をみたま様は見たことがありませんでした。
割とみたま様にお小言をくれますが、何だかんだ最後には慮ってくれる事が多いのです。
マキナという新たな式神が配下に付いたものの、彼女はみたま様の全肯定マシーンであり、みたま様の暴走を止める事もなければツッコミを入れてくれる事もありません。
分福の背中をゆさゆさと揺すって、みたま様は半泣きで声を掛けます。
「すまんかった! ごめんなさい! もう二度とこういうドッキリはせんから! そろそろ『ふん』以外の言葉を発して欲しいのじゃ!」
「今日限りで式神を辞めさせて頂きます。」
「うわああああああん! そんな言葉が欲しかったんじゃないのじゃ~! わしにはお主が必要なのじゃ~!」
みたま様に背中を揺すられながら、分福は人知れずくすりと笑います。
怒っている"フリ"こそすれど、その顔は穏やかなものでした。
しばらく、みたま様は分福のご機嫌取りに必死になり、その様子を分福は楽しみながら見ているのでした。
神様のみたま様と式神の分福の関係性はまだまだ続きそうです。
「今日はどんなじゃんるに挑戦しようかの。」
「それまだやるんですか。遊びみたいなもんって言ってたのに。」
「あれはドッキリの中での話じゃ。わしはまだまだ続けるぞ。」
「ガールズラブとかどうでしょうか。私とみたま様のイチャラブもので……。」
「私欲剥き出しじゃないですか。」
「やっぱりツッコミ役は必要じゃな。分福、お主が残ってくれて本当に良かったぞ。」
「私だけ負担重すぎませんか?」
みたま様と式神の分福とマキナは今日も食卓を囲み、他愛ない会話を交わします。
これからも、みたま様達の日常は続きます。
「わし達の信仰集めはこれからじゃ!」
「そんな打ち切り漫画みたいな。」
お後が宜しいようで。
お狐さまが通る!~忘れられた神様が信仰を取り戻す為にミーハーに人気のある世界に殴り込んで一発逆転狙って頑張ります!~ 空寝クー @kuneruku
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