12、諦めた英雄
「はじめまして世界を救った英雄達よ」
「俺達はまだ救ってないぜ、まだ大魔王を封印して、とりあえず世界を平和にしただけだからな」
「貴方達は寿命による世界の終焉も止めるつもりだと」
「あぁ、もちろんそのつもりだ」
「貴様は神なのだろう、終焉から世界を救う方法はないのか?」
「ありませんよ」
「おまえさんが知らないだけで存在するってこともないのか?」
「そこまでは言いません、私はただの観測者であって万能の神ではないのですから」
「それならまだ世界を救える希望はあるってことだな」
「あの大魔王を封印できたんだ、我輩達ならきっと救えるはずだ」
「もし貴方達が世界を救うと言うなら、私も微力ながら力を貸しましょう」
「ほう、神様が手を貸してくれるなら百人力だな」
「期待はしすぎないでください、私は既に幾つもの世界の終焉を見届けただけの、ただの観測者ですから」
「じゃあ、おまえさんはどんな協力をしてくれると言うんだい」
「私に出来るのは貴方達に教えることだけです、世界の終焉について、言葉ではなく記憶で」
「それってどういう意味だ、、、ぐっ、頭が!」
「今、貴方達の頭に世界の終焉や世界の誕生にまつわるあらゆる知識を流し込んでいます。それはきっと貴方達が世界を救う、手助けになるはずです」
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「無理だ、、、世界を救うなんて」
「スケールが違いすぎる、、、」
「大魔王なんて所詮はただの内輪揉めに過ぎなかった、、、この話はレベルが違う」
「残念です貴方達もなのですね、どれだけ希望を持った者でもこのことを知れば希望を失ってしまう、どうやら私はまた1つの世界の終わりを見届けることになるのですね」
「どうする、、、英雄殿よ」
「世界を救うことは出来ない、ならば俺達はせめて、、、せめて人々が平穏に暮らせるようにするんだ、大魔王を封印したことに意味がある。そう思わなきゃ、、俺の心は砕けちまう」
「我輩は反対だ!」
「おまえさんはあれを知ってもまだ世界を救うことを諦めないつもりか?」
「我輩も、、もう世界を救えるなどという、夢物語は持っていない!」
「それじゃあ一体何を?」
「世界を破壊する」
「おまえさん何を言ってるんだ。それじゃあ私達が大魔王を封印した意味がないじゃないか」
「意味などなかった、あのまま大魔王に世界を壊させれば良かったのだ。今は戦争が終わり世界に一時的な平和が訪れ人々に希望が溢れているが、直ぐに終焉を思い出し人々の心は絶望に包まれるだろう」
「お前は絶望するくらいなら死んだ方がマシだと言いたいのか?」
「そうだ今の我輩達がそうだろう、貴様達は思わぬのかこんな絶望を味わうぐらいなら、希望を持ったまま死んだ方がマシだったと」
「、、、」
「何も言い返せぬか、それが答えだ!」
「世界を壊すって何をするつもりだ?まさかまた戦争でも始めるつもりか」
「そんな必要はない、我輩達は大魔王を封印した英雄だ。大魔王と違い世界樹を倒すその瞬間まで、我輩達が世界樹を倒すと思う者などおらぬだろう」
「残念だが、お前の野望を止める奴ならいるぜ」
「なんだと」
「俺だよ、俺がお前を世界を破壊する魔王にはさせねえよ」
「そうか結局は貴様は偽りの平穏と平和を守るのか、、、」
「悪いが私もおまえさんと一緒に世界を壊してやることはできん」
「そうか見事に人間と魔族で割れたな、皮肉なことに世界を破壊する側にいるのが魔族だがな」
「、、、ナイトメア」
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「もうやめようナイトメア、こんな戦いに意味などない!」
「その通りだ、我輩が勝とうが貴様達が勝とうが、世界は滅びるのだからな」
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「どうした、トドメを刺せ」
「くそっ、くそっ、何でこんなことに、、、出来ねぇ、、俺には出来ねぇよ」
「貴様のそれは優しさではない、単なる甘さだ。相手に対しての甘さではない自分に対しての甘さだ。世界を壊すことも出来ず、世界を壊す者を殺すことも出来ず、、、それでも世界を救った英雄か?」
「俺は英雄なんかじゃない、俺は、、俺は、、、」
「安心しろ貴様は英雄ではない、我輩は世界を壊すためなら何でもするつもりだ、どんな犠牲でも、どんな悲劇でも起こそう、それを聞いてなお、かつての仲間と言うだけで我輩を殺せぬのなら貴様は英雄でも何でもない」
「待てよ、、、待ってくれよナイトメア!」
「我輩を止めたければ言葉ではなく剣で止めろ!」
、
、
、
、
、
「俺はどうすりゃあいいんだよ!」
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