3、自警団の最高戦力
「おい、クロナあんま無茶してんじゃねーぞ、お前の姉ちゃんを心配させるなよ」
「まさか、姉さんもこのことを知ってるんですか?」
「当たり前だろ、誰に頼まれて来てると思ってんだ」
クロナの顔が青ざめていた、クロナの姉は怒ると怖く、クロナが無茶しないことを条件に自警団への入団を許可してくれたので、囮作戦で犯人を捕まえようとしたのがバレたらまずいと思ったのだ。
「助けてくれてありがとうございます。でも何であたし達がピンチだって分かったんですか〜?」
「簡単な話だ。事件を追ってたら犯人の1人を捕まえて、そいつに全部吐かせた」
ヒカリ達、子供が知恵を絞り、危険を冒して、事件を解決しようとしてた時、既に大人達はヒカリ達よりも先の所にいた。
「そいつから聞き出した話しで、お前等が名指しで標的になってるのを知ってな、保護しようとして動いてたら、お前等がひと気のないこの森に来たって聞いて、見つけてみたらこの様だ」
ヒカリ達は反論出来なかった、あのままヒートが来なければ、敗北して連れ去られていた可能性が高い。
「私の存在を忘れてはいませんか」
マカロンの分身がヒートに襲い掛かった。
「別に忘れてはいないぜ、ただ気にする必要がないだけだ」
ヒートは先程、ココロを助けるのに使った炎を召喚して操る魔法を使って、分身達を焼き尽くす。更にヒートは自分に襲い掛かろうとした分身だけでなく、ヒカリ達を囲んでいた分身も焼き尽くした。その炎は攻撃特化の分身だけでなく、ヒカリ達の攻撃がびくともしなかった、防御特化の分身も等しく焼き尽くす。だが驚くべきは威力だけでなく、精度の方もだろう凄まじい威力の炎でありながら近くにいたヒカリ達には炎のダメージがなかった。
「お前等、ちょっと下がってろ」
ヒカリ達は大人しく従った。自分達の力不足を痛感して、せめて足手纏いだけにはならないようにしようと考えた。
「なるほど噂通りの強さだ、ところで貴方に捕まった者の会員NOは幾つですかな?」
「確かNO.5と言ってたぜ」
「なるほど、貴方が私を舐めているのはそれが原因ですか」
先程まで、紳士的に振る舞っっていたマカロンもヒートの「気にする必要がない」という発言には我慢ならないものがあるらしい。
「悪夢の茶会の会員は数字が若い程に強く、NO.3の私は貴方が倒した者の10倍以上の強さを誇るのですよ」
「何だよ、たった10倍かよ、じゃあ大したことねえなぁ」
「減らず口が叩けるのも今のうちですよ」
そう言って、マカロンは再び煙の涙を流して、分身を召喚した。
「言っとくが、そんな分身を幾ら出そうが全て焼き尽くすぜ」
「私の魔法は分身を出すことだけではありませんよ」
マカロンは1度出した分身を口から吸い込んだ、マカロンの肉体は膨れ上がり、3メートル程の巨体になった。
「二度手間じゃねーか、わざわざ出した分身を吸収して肉体強化って意味あるのか?」
「当然ありますよ、手間を掛ければそれだけ結果も付いてくるのが魔法なのですから」
マカロンはその巨体からは想像も出来ない速さでヒートに迫る。ヒートは先程まで使っていた召喚した炎を操る魔法で迎撃しようとするが、マカロンはものともせずに突撃をやめない。
「温い炎ですね」
マカロンはヒートに接近すると、突進の勢いそのままに頭上に挙げた両腕をヒートに叩きつける。その威力はあまりに凄まじく、土煙が上がり、ヒカリ達は吹き飛ばされ、木々が悲鳴を上げた。
「馬鹿な!?」
だが驚いたのは、凄まじい威力の攻撃を放ったマカロンの方だった。ヒートは片手でその攻撃を防いでいた。
「俺は遠距離魔法が苦手でな威力が大分、落ちちまうんだ」
ヒートは左手のみでマカロンの攻撃を防ぎ、右手には攻撃用の魔力をためていた。
「得意なのは、身体能力の強化と近距離で炎をぶちかますことだぜ」
ヒートの拳は、隙だらけのマカロンの胴体に直撃した、瞬間、先程までの炎が力を抑えたものだというのを証明するように凄まじい炎が吹き荒れマカロンの体を焼き尽くす。
マカロンの体は灰すら残さず、この世界から焼失した。
「生け捕りにしようと思って威力を抑えたが、、、やっぱり威力の調整は苦手だ」
ヒートの攻撃によって、マカロンの攻撃の衝撃波に耐えた木々もへし折れていた。
「おい、お前等、大丈夫か?」
「何とか大丈夫です」
倒れた木々の間から、ヒカリが顔を出して答えた。
「他の2人は?」
「一緒にいますよ」
ヒカリの返答に合わせて、クロナとココロの2人も顔を出す。
「怪我は?」
「あたしが治しましたよ〜」
流石に無傷とは行かなかったが、受けた傷は全てココロが治療済みだった。
「そうか、なら行くぞ」
ヒートはヒカリ達が無事なことを確かめると、ヒカリ達を保護して森をあとにした。
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