第三話 とうとうきた婚約破棄
「おい、カロリーヌ」
ブロワーズはカロリーヌを呼び止めたが、その隣には男爵令嬢ジョジョゼがいた。
「ブロワーズ様、どうかなさいましたか? ジョジョゼさんもご一緒だなんて」
カロリーヌは不安で今にも心が押しつぶされそうになりながら要件を聞いた。
「カロリーヌ、お前との婚約を破棄する! そして私は男爵令嬢ジョジョゼと新たに婚約する」
ブロワーズは突然そう叫んだ。周りはざわざわしながら三人を見つめている。
(やっぱりそうだったのね……きっともう何を言っても駄目ね)
「……わかりました。両家にはブロワーズ様よりお伝えください」
(お父様ごめんなさい。わたくし婚約破棄をされてしまいました……。教会に入ってシスターになる時が来たようです)
周りがより一層騒がしくなってきていた。三人の周りに人が押し寄せていた。
「おい、ブロワーズ! お前正気なのか?」
ブロワーズの友人が険しい顔でそう問い詰めた。
「もちろん正気だ。もともと親同士が勝手に決めた婚約だ。こんな女ごめんなんだよ」
カロリーヌに追い打ちをかけるような内容をブロワーズは友人に答えた。
「いや、お前がそれで良いなら別に俺がどうこう言うことじゃないけど……」
(もう駄目だわ。この場にいたくない。会場からでないと)
カロリーヌがその場から立ち去ろうとした瞬間、カロリーヌの周りを何人もの男が取り囲んだ。
(なに!? 怖い……)
男たちは真剣な表情でカロリーヌを見つめている。
「カロリーヌ、僕と結婚してくれ!!」
「いや、私と結婚してくれ」
「私の家の方が爵位が高い、是非私と!」
カロリーヌの周りを取り囲んだ男たちが次々と求婚を始めた。カロリーヌは何がなんだかわからずに、ただうろたえていた。
ブロワーズとジョジョゼも困惑の表情を浮かべている。
「ちょっと待ってくれ!」
突然遠くから声が聞こえてきた。
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