第14話 教会でのお茶会・その2
「日影の中に入ると涼しいな」
手の甲で汗を拭きながらケインが呟く。季節はもう夏が近づいていて、カラッとして少し暑い。ケインの意見に僕も賛成だった。
「神父さまがくるまでにお茶会の準備をしようか。ケインそっちに立って布巾を広げるの手伝って」
「おう」
僕とケインはテーブルを挟んで立つと、家から持って来た大きな布巾をテーブルクロスの代わりに敷いた。
「もう少し大きい方がいいかと思ったけど、ピッタリだね!」
布巾はテーブルの木目を綺麗に覆い隠し、陽の光を反射して白く輝いている。僕は持ってきたバスケットからサンドイッチとバターを取り出しその上にのせた。
「ケイン、そっちの袋から食器を出してくれる?」
「おう、わかった」
僕がそう頼むと、ケインは肩に下げていたカバンから布で包んでいた食器を取り出した。そして、慣れた手つきで食器を並べたケインは、それぞれの皿の上にサンドイッチを盛り付けていく。
「こんなもんかな」
「おおー!流石だね!」
先ほどまで何もなかったテーブルの上には、彩りよく皿の上に並んだサンドイッチと中央にリボンを風に靡かせるバターの小瓶があった。
「これはこれは、素敵なお茶会になりそうですね」
声が聞こえた方に振り向くと、ティーポットとカップをトレーにのせたクラウディ神父が、こちらを見て立っていた。
「はい!ちょうど準備が終わったところです」
「はやく始めようぜ。喉が渇いて死にそうだ」
服の襟をパタパタさせながら、そうボヤくケインに苦笑しつつクラウディ神父はお茶の準備を始めた。
お茶の葉は、教会の畑で育ったハーブを使ったものらしく、カップに注いだ瞬間から辺りに鼻を通り抜けるような涼しげな香りが漂った。
「さて、お茶の準備も終わりましたし頂きましょうか」
「そうですね!」
僕達はそれぞれの席に座り、それから教会でのお茶会がはじまった。
僕はまず、空腹を満たすためにサンドイッチに齧りつこうと手を伸ばす。しかし、あと少しのところで背後から何かが勢いよく通り過ぎていった。
「うわぁっ!なんだ?!」
そして、驚きで閉じた目を開けると、先程までそこにあったサンドイッチは跡形もなく消えているのだった。
少年の墓掃除 谷風 雛香 @140410
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