第13話 教会でのお茶会
墓地にたどり着いた僕達は、薔薇の生垣をくぐり抜けると教会に向かった。片手に下げたバスケットが機嫌が良さそうにゆらゆら揺れる。
教会の扉を開いて、声を掛けた。
「神父さま、いらっしゃいますかー?」
教会の中はステンドグラスから差し込む光に照らされて、厳かな雰囲気に包まれていた。しかし、そこに神父さまの姿は見えなかった。
「誰もいないなぁ。どうするスフェン?」
「んー、裏手の畑にも行ってみようか」
教会の裏手には、神父さまが新しく作った畑がある。もしかしたら、そこにいるかもしれない。
僕達は一旦引き返すと、教会の脇を通り抜け、畑へと向かった。少し歩くと遠くの方に神父さまの姿が見えた。
「こんにちは神父さま!」
「久しぶりだな、神父さま」
後ろから声を掛けると、神父さまはこちらに振り返りにっこりと笑った。
「こんにちは、いい安息日を過ごしていますか?」
「はい!それで、よかったら神父さまもお誘いしようと思って来ました」
僕は片手に下げたバスケットの布巾を神父さまに見せるように外した。
「おお!美味しそうなサンドイッチと綺麗な小瓶ですね。中身はバターかな?」
「そうです、隣人の方に貰ったので神父さまも誘ってお茶会でもしようかと思って」
太陽の光にあたって小瓶がきらりと光っている。中身はちょっと溶けたかもしれない。
「いいですよ、道具を片付けてくるので向こうのテーブルで待っていてください。お茶を持って来ますね」
神父さまが指差した方を見ると、木陰の下に小さなテーブルと椅子が並んでいるのが見えた。
「わかりました、ありがとうございます!」
「ありがとうな神父さま」
「いえいえ、いいんですよ。ではまた」
神父さまは僕達に手をひらひら振ると、道具を片付けに畑へと戻っていった。それを見送った僕達は木陰のテーブルへと向かった。
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