自由詩:返り咲き

まばらに咲き散り枯れゆく

花たちの帰路きろも疎らで

帰る者帰らぬ者天にのぼる者

うたうたいにその運命さだめを知れど

内なる星芒せいぼうに希望のひとすじあり

しかれど光はあわく消えゆく

日々のいくさに散らぬ者なく

日々の森に涙の枯れることなし

日の昇り四十八たび前の夜

かの悪食のサラセニア昇り

林床りんしょうの枯葉に水気を含まぬものはなし

今宵こよいの天より強き星は流れ落ち

そばの林床にはじけたと見る

花ども星芒のまぶしさを見て

英雄の帰還きかんを知らぬ者なし

されど彼を迎える者は

大いなるクエルカスただ彼女のみ


想い失いし明星みょうじょう

姿は幾度いくたび見かけた美麗びれい

大樹たいじゅの精はただ淡々たんたん

微笑ほほえみずからの名を教え

故郷こきょうの道を案内す

道々に会う花たちは

皆目を伏せるようにして

かつての星を思い出し

静かに涙をこぼしては

新たなことつむぎだし

どうにか笑って名を交わす

然れど双星そうせいいちディオニアは

言の葉ひとつ紡がずに

戦場いくさばって強者つわものらう

明星とまみえる日は初戦はついくさ

運命と戦に結ばれて

再び双子星ふたごぼしは地に輝く

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